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台風下の「宅配ピザ」 従業員の怪我は誰が法的に責任を負うのか?

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平成30年9月に本州に非常に強い台風で21号と台風24号が上陸し、暴風雨が吹き荒れたなかで、宅配ピザ業者の配達員が転倒した件で、経営会社の責任に社会的注目が集まっています。                            

この件について、法律上、会社が配達員の転倒に対し、法的責任を負うのか?

会社は、雇用する従業員(配達員)に対し、雇用契約に基づき従業員の安全を守る安全配慮義務を負っています。そのため、会社は、台風などで配達員が転倒や怪我をすることが予想される以上、①台風などによる自然災害の場合の安全対応マニュアルの整備や、②ヘルメットを含めた転倒の場合の保護保護用具の装着をさせる義務を安全配慮義務に基づき負う最低限の具体的義務を負うものと考えられます(詳細な事実関係をもとにすると、具体的安全配慮義務の内容は変更されます。)。

安全対応マニュアルには、風速や降水量などの観点から、そもそも配達員の転倒防止が困難な場合は配達禁止、時間帯により風雨が弱まるなどで配達員の転倒の危険が低い場合は短距離・短時間などの範囲内で配達は可能など、個別の配達の可否などの判断基準が記載されていなければなりません。 

次に、配達をさせる場合は、ヘルメットの正しい装着をしているか、正しい装着をしたかの確認義務など、転倒の回避や、転倒した場合に怪我を防止する具体的方策が必要となります。

本件では、台風21号と台風24号の暴風雨の程度からは、配達員に配達をさせることは、その風速や降水量などから、会社は、配達員の転倒の危険は避けられないと安全マニュアルから判断し、そもそも配達員に配達をさせないように判断し、配達させない義務があったと考えられます。

会社はこれらを怠ったものとして、配達員(従業員)に生じた怪我や経済的損害に対し、会社は安全配慮義務に基づき賠償義務を負うものと考えられます(なお、この見解は、詳細事情をもとに判断する場合に異なる結果となる可能性があります。)  

当事務所では、このような労働災害に対し、従業員からの相談、経営者からの労働災害防止のための安全対策マニュアルなどの構築・運用の相談に数多くの対応をしておりますので、このような労働災害でお悩みの方、会社の方はお気軽にご相談ください。 

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