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個人情報保護法の改正法が成立し、2028年7月までに施行される予定です。今回の改正は、人工知能(AI)の急速な発展を背景として、データの利活用を促進することを目的としています。
近年、生成AIや機械学習の普及により、大量のデータを分析・活用する技術は飛躍的に進歩しました。医療、金融、行政、教育など幅広い分野でAIの活用が期待される一方、個人情報の保護をどのように確保するかという課題も大きくなっています。
今回の改正では、データ活用を促進するための制度整備が進められましたが、プライバシー権との調整や救済制度の在り方については、多くの議論が続いています。
個人情報保護法では、通常の個人情報よりも慎重な取扱いが必要な情報を「要配慮個人情報」としています。
例えば、次のような情報が該当します。
これらの情報は、差別や偏見につながるおそれがあるため、これまでは本人の同意が重視されてきました。
今回の改正では、AI開発や統計分析など一定の目的について、本人の同意が不要となる場面が拡大されました。
その背景には、日本企業のAI開発を促進し、国際競争力を高めたいという政策的な目的があります。
AIは大量のデータを学習することで性能が向上します。そのため、利用できるデータが多いほど、高精度な分析や予測が可能になります。
もっとも、本人が知らないうちに個人情報が利用されることに対して、不安を感じる人も少なくありません。
AIが大量のデータを分析すると、人の属性や行動傾向を推測できます。このような分析は「プロファイリング」と呼ばれています。
プロファイリング自体は、マーケティングや広告配信などで広く利用されています。
しかし、採用選考、融資審査、保険契約、賃貸契約など重要な判断に利用された場合には問題が生じる可能性があります。
統計上の傾向だけで個人が評価されると、本人の能力や事情とは無関係に不利益な取扱いを受けるおそれがあるからです。
さらに、AIがどのような理由でその判断に至ったのかが分かりにくい場合も多く、透明性や説明責任の確保が重要な課題となっています。
個人情報を安全に利用する方法として、匿名化や仮名化があります。
匿名化とは、個人を特定できない状態まで加工することです。
一方、仮名化は氏名などを別の符号に置き換え、一定の条件下でのみ元の情報と照合できるようにする方法です。
これらの措置は情報漏えいリスクを軽減する有効な手段ですが、AI開発ではデータ同士を照合する必要がある場面も多く、その運用方法については今後も検討が続くものと考えられます。
現在、多くのウェブサービスでは、利用者が長文の利用規約やプライバシーポリシーに同意することによってサービスを利用しています。
しかし、実際には内容を十分に理解しないまま同意しているケースも少なくありません。
そのため、「形式的な同意」に依存する制度には限界があるとの指摘があります。
もっとも、同意制度を縮小するだけではなく、利用目的を分かりやすく説明し、利用者が実質的に選択できる環境を整備することも重要です。
今回の改正によってデータ利活用は促進されますが、今後は次のような課題への対応が求められます。
技術の進歩は非常に速いため、法律やガイドラインも社会の変化に合わせて見直していく必要があります。
企業は、個人情報保護法を遵守するだけではなく、個人情報を適切に管理する体制を整備することが重要です。
特にAIを活用する企業では、
などが重要になります。
法令違反があれば行政指導や課徴金、損害賠償請求などの法的リスクが生じる可能性があるため、早めの法務体制の整備が望まれます。
AIや個人情報保護法をめぐる法制度は、今後も大きく変化することが予想されます。
企業においては、個人情報の取得方法、AI開発に利用するデータの適法性、プライバシーポリシーの見直し、情報漏えいへの対応など、専門的な法的判断が必要となる場面が少なくありません。
個人情報保護法への対応に不安がある企業や、情報漏えい・プライバシー侵害への対応でお困りの方は、早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
今回の個人情報保護法改正は、日本におけるAI活用を後押しする重要な制度改正です。一方で、要配慮個人情報の利用範囲の拡大やプロファイリングによる影響、プライバシー保護との均衡など、多くの課題も残されています。
企業には法令を遵守しながら安全なデータ管理を行うことが求められ、利用者も自身の個人情報がどのように利用されるのかを理解することが重要です。今後の運用や追加の法改正にも注目しながら、AIの発展と個人の権利保護が両立する制度の構築が期待されています。
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