トップページ > ブログ > 飲食店での食中毒:何処まで損害を請求できるか

ブログ

飲食店での食中毒:何処まで損害を請求できるか

|事故|民事一般

 

 

 

飲食店の食中毒で損害賠償請求できる?治療費・慰謝料・休業損害を弁護士が解説

飲食店で食事をした後、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状が現れた場合、「食中毒ではないか」と疑うことがあります。

食中毒によって医療機関を受診したり、仕事を休んだりすれば、治療費だけでなく収入の減少など、さまざまな損害が発生します。また、旅行やコンサート、イベントなどをキャンセルせざるを得なくなるケースもあります。

では、飲食店の料理が原因で食中毒になった場合、店側に損害賠償を請求できるのでしょうか。

飲食店の食中毒で損害賠償請求できる場合

飲食店が提供した食品によって健康被害が発生し、店舗側に法律上の責任が認められる場合には、被害者は損害賠償を請求できる可能性があります。

法的には、民法709条の不法行為責任などが問題となります。また、飲食物の提供という契約関係を前提として、債務不履行責任が問題となる場合もあります。

ただし、「店で食事をした後に体調が悪くなった」という事情だけで、直ちに店舗側の損害賠償責任が認められるとは限りません。

重要なのは、

  • 本当に食中毒であるのか
  • 店舗で提供された食品が原因なのか
  • 店舗側の食品衛生管理等に問題があったのか
  • 食中毒と発生した損害との間に因果関係があるのか

といった点です。

特に、保健所による調査によって原因食品や原因施設が特定されている場合には、店舗側の責任を検討するうえで重要な事情となります。食品衛生法63条は、食中毒患者等の発生について保健所長が調査を行うことを定めています。

食中毒で請求できる損害とは?

食中毒が原因で発生した損害については、具体的な内容と金額を確認しながら請求することになります。

1 治療費・薬代・通院交通費

食中毒による下痢、腹痛、発熱、嘔吐などの症状について医療機関で治療を受けた場合、診察費、検査費、薬代、入院費などが損害となる可能性があります。

さらに、通院のために利用した公共交通機関の運賃なども、必要かつ相当な範囲で損害として認められる可能性があります。

そのため、医療機関を受診した場合には、診療明細書、領収書、処方箋、薬局の領収書などを捨てずに保管することが重要です。

2 仕事を休んだことによる休業損害

食中毒によって仕事を休み、収入が減少した場合には、その減収分について休業損害を請求できる可能性があります。

会社員であれば、給与明細や勤務先の休業証明書などによって、欠勤による収入減少を確認します。

自営業者や会社経営者の場合には、単純に「休んだ日数×日給」と計算できないこともあり、確定申告書、帳簿、売上資料などを確認して具体的な損害額を算定する必要があります。

また、有給休暇を使用して仕事を休んだ場合についても、実際に有給休暇を消費したことをどのように損害として評価するかが問題となる場合があります。

3 食中毒による慰謝料

食中毒によって身体的・精神的な苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料の金額について法律上、一律の基準が定められているわけではありません。

症状の程度、治療期間、入院の有無、通院期間、仕事や日常生活への影響など、具体的な事情を踏まえて判断することになります。

したがって、「食中毒なら慰謝料はいくら」と一律に決めることはできません。

4 旅行・イベントのキャンセル料

食中毒のため、予定していた旅行、ホテル、航空券、コンサート、イベントなどをキャンセルし、キャンセル料が発生した場合には、その費用が損害として認められる可能性があります。

ただし、食中毒との因果関係や、キャンセルすることが必要かつ相当だったのかなどが問題になります。

例えば、予約日と発症日の関係、医師からの指示、症状の程度、キャンセル時期などによって判断が異なる可能性があります。

予約確認メール、チケット、領収書、キャンセル料の明細などは保存しておきましょう。

食中毒の損害賠償では「証拠」が重要

飲食店の食中毒について損害賠償を請求する場合、単に「この店で食べて具合が悪くなった」と主張するだけでは、店舗側から原因を否定される可能性があります。

そこで、できるだけ早い段階から証拠を確保しておくことが重要です。

例えば、

  • 飲食店のレシート・領収書
  • クレジットカード・電子決済の利用履歴
  • 食べた料理の写真
  • 店舗とのメールやSNS等のやり取り
  • 医療機関の診断書
  • 診療明細書・医療費領収書
  • 薬局の領収書
  • 給与明細
  • 休業証明書
  • 旅行・ホテル・航空券等の予約資料
  • キャンセル料の明細

などが考えられます。

また、同じ店で食事をした家族や友人も同様の症状を発症している場合には、その事実も重要な事情となります。

厚生労働省の食中毒調査においても、喫食状況、原因食品、汚染経路、患者の症状や検査結果、原因施設の衛生状況などが調査対象となっています。

食中毒が疑われたら保健所への相談も重要

飲食店の料理を食べた後に複数人が同様の症状を発症した場合など、食中毒が疑われるときは、医療機関を受診するとともに、保健所への相談も検討しましょう。

食品衛生法では、医師から食中毒患者等について届出があった場合、保健所長が調査を行うこととされています。保健所による調査では、患者の喫食状況や施設の調査、必要な検査などが行われます。

保健所による調査結果は、店舗側との損害賠償交渉においても重要な資料となる可能性があります。

店から示談金を提示された場合は要注意

食中毒が発生すると、飲食店側から治療費や慰謝料などの支払いを提案されることがあります。

しかし、提示された金額が実際に発生した損害をすべてカバーしているとは限りません。

特に注意したいのが、示談書に「本件について今後一切請求しない」などの清算条項が入っている場合です。

示談成立後に症状が長期化したり、後から休業損害などの損害が判明したりしても、追加請求が難しくなる可能性があります。

そのため、示談書に署名する前に、提示された金額が適切なのか、今後発生する可能性のある損害をどのように扱うのかを確認することが重要です。

札幌で食中毒の損害賠償をお考えの方へ

飲食店での食中毒は、治療費だけの問題ではありません。

症状によって仕事を休めば休業損害が発生する可能性があり、治療による身体的・精神的苦痛について慰謝料が問題となることもあります。さらに、旅行やイベントをキャンセルした場合には、そのキャンセル料が損害として認められるかどうかも検討する必要があります。

一方で、店舗側に損害賠償責任を求めるためには、飲食店で提供された食品と健康被害との因果関係や、具体的な損害額を証拠によって明らかにすることが重要です。

店舗側から示談金を提示された場合や、店舗側が責任を否定している場合には、示談書に署名する前に弁護士へご相談ください。

札幌で食中毒による損害賠償請求を検討されている方は当弁護士事務所にお気軽にご相談下さい。 

 

「安心」と「信頼」をお客様へ。

みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

20年以上の実績を持つ弁護士が、実績と知識に基づく確かな解決をご提案させて頂きます。

ページの先頭へ