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逮捕歴の削除命令|米ツイッター社逆転敗訴

企業法務個人情報保護誹謗中傷

米ツイッター社に過去の逮捕歴投稿の削除を求めた事案で、最高裁は、削除を認めなかった控訴審(東京高裁)の判断を破棄し、削除を命じました。

最高裁は2017年、グーグルの検索結果削除に関する事案で、プライバシー保護が情報公表の利益より明らかに優越する場合に削除は認められるとの判断基準を示しました。

東京高裁は、この基準を用いて、今回の男性の削除を求める基準は、情報公表の利益より明らかに優越するとは認められないとして、男性からの削除請求を認めませんでした。

これに対し、最高裁は、ツイッター社が利用者に提供しているサービス内容やツイッターの利用実態などを考慮すると、プライバシー保護が情報公表の利益より明らかに優越する場合に限らず、プライバシー保護と情報公表の利益などを比較考慮し、判断すべきであるとグーグルの事案と異なる基準を示し、東京高裁の判決を棄却し、男性の削除が優先する結果を導きました。

詳細な判断は、①男性の逮捕は軽微とはいえない犯罪事実に関するものとして、ツイートがされた時点では公共の利害に関する事実があったといえる。②しかし、逮捕から二審の口頭弁論終結時まで約8年が経過し、男性が受けた刑の言い渡しは効力を失っており、③ツイートに転載された報道記事も既に削除されていることなどからすれば逮捕の事実は「公共の利害との関わりが小さくなってきている」、④また、各ツイートは報道記事の一部を転載して事実を示し、「ツイッター利用者に速報することを目的」としてされたものとうかがわれ長期間にわたって閲覧され続けることを想定したものとは認めがたい。⑤さらに男性の氏名を検索すると本件ツイートが表示され、逮捕の事実を知らない人に伝達される可能性が小さいとは言えない。⑥加えて、男性は公的立場にある者ではない。

これらの事情を踏まえると、逮捕を公表されない法的利益は、ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越すると認めるのが相当との判断が示されました。

グーグルが、情報の長期保存という性質を有するのに対し、ツイッターはツイッターの利用者に情報を速報する目的を有し、情報の長期保存を目的としていないという媒体の目的や用途の差から、個人情報の保護基準が異なるものとなりました。

今後は、個人情報がどのような媒体に載ったのか、媒体の利用目的や実際の利用状況などにより、削除の利益(個人情報保護)と保存の利益の比較考慮の基準が変わりうることを示唆しています。

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