トップページ > ブログ > 「中学生だけ入店拒否」はアリ? 判例から見る“出禁”の境界線

ブログ

「中学生だけ入店拒否」はアリ? 判例から見る“出禁”の境界線

|事故

中学生だけの入店禁止は違法?商業施設の「出禁」と施設管理権を弁護士が解説

商業施設やスーパーでは、利用客による迷惑行為が繰り返された場合、店舗側が入店を拒否したり、退店を求めたりすることがあります。

では、迷惑行為をした本人だけではなく、「中学生」という年齢を理由として、中学生だけでの入店を一律に禁止することは法律上許されるのでしょうか。

2026年、岩手県奥州市の「いわて生協コープアテルイ」が、中学生による迷惑行為への対応として、保護者等が同伴していない中学生の敷地内・店内への立入りを制限したことが報じられました。

報道によれば、休日を中心に中学生が集まり、通路への座り込み、大音量で音楽を流す行為、他の客への暴言などが問題となり、多いときには数十人が集まっていたとされています。

今回は、商業施設による「中学生の入店禁止」が違法となるのかについて解説します。

店舗には入店を拒否する権限がある

店舗側には、施設の安全や営業秩序を維持するため、一定の場合に入店を拒否する権限があります。

民法521条1項は、契約を締結するかどうかについて当事者が自由に決定できることを定めています。また、店舗の所有者・管理者には、施設を適切に管理する権限があります。

そのため、例えば、

店内で暴力行為をする
商品や設備を壊す
他の客に繰り返し迷惑をかける
通路を占拠する
大声や大音量で騒ぐ
店員の注意に従わない

といった行為をした人に対して、入店禁止や退店要求を行うことは、原則として認められる可能性があります。

ただし、店舗側の入店拒否が常に自由に認められるわけではありません。

「中学生だから」という理由だけで禁止できるのか

問題となるのは、実際に迷惑行為をしていない中学生まで一律に入店禁止とすることが許されるのかという点です。

例えば、迷惑行為を繰り返した特定の人物を出入り禁止にすることと、「中学生である」という理由だけで、無関係な中学生全員を入店禁止にすることは同じではありません。

判断にあたっては、

迷惑行為がどの程度繰り返されていたか
行為者を特定することができたか
個別に注意・退店要求を行ったか
警察への通報など他の手段を講じたか
一律禁止以外の方法で問題を解決できたか
入店禁止の期間や範囲が適切か

などの事情が重要になります。

民法709条による損害賠償が問題になることも

入店拒否が社会通念上著しく不合理であり、特定の人の権利や法律上保護される利益を違法に侵害した場合には、民法709条の不法行為責任が問題となる可能性があります。

民法709条は、故意または過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害した場合の損害賠償責任を定めています。

さらに、精神的苦痛が発生した場合には、民法710条に基づく慰謝料が問題となることもあります。

もっとも、入店を断られたというだけで直ちに違法となるわけではありません。店舗の安全確保など、合理的な目的のために必要な措置であれば、違法性が否定される可能性があります。

参考になる小樽の外国人入浴拒否事件

店舗による一律的な利用拒否については、札幌地方裁判所平成14年11月11日判決が参考になります。

この事件では、北海道小樽市の公衆浴場が、外国人客による入浴マナー上の問題を背景として、外国人の入浴を一律に拒否しました。

札幌地裁は、他の利用客に迷惑をかける者について入浴を拒否すること自体を否定したわけではありません。

しかし、個々の迷惑行為者ではなく、「外国人であること」を理由として一律に入浴を拒否することについて、合理性を欠くとして、入浴拒否を受けた外国人に対する慰謝料等の支払いを命じました。

この判例は今回と同じ事案ではありませんが、迷惑行為への対応と、特定の属性を持つ人全体を排除することは区別して考える必要があることを示しています。

今回の中学生入店禁止は違法なのか

今回のケースについては、報道された事情だけから、直ちに「違法」と断定することはできません。

重要なのは、店舗側が一律禁止に至るまでに、どのような対策を行ったかです。

仮に、店舗側が個々の迷惑行為者に注意や退店要求を行い、警察への相談・巡回なども実施したものの、行為者の特定が困難で、同様の迷惑行為が繰り返されていたのであれば、店舗の安全や営業秩序を維持するために一定の入店制限を行うことが合理的と評価される可能性があります。

特に、今回の措置が保護者同伴なら入店可能で、期間も限定されているのであれば、無制限に中学生を排除する措置とは異なります。

一方、迷惑行為をした本人を特定でき、個別の出入り禁止などによって対応できたにもかかわらず、十分な対策をしないまま無関係な中学生まで一律に排除したのであれば、必要性や相当性を欠くとして、違法性が問題となる余地があります。

商業施設の「出禁」は個別事情が重要

商業施設には、施設の安全や秩序を守るための管理権限があります。

しかし、その権限が無制限に認められるわけではありません。

「出入り禁止にされたが理由が不合理だ」「家族まで入店を拒否された」「年齢や属性だけを理由に施設の利用を拒否された」などのケースでは、入店拒否の目的、必要性、対象範囲、期間などを具体的に検討する必要があります。

札幌で商業施設の入店拒否、出入り禁止、施設利用をめぐるトラブルについてお悩みの方は、弁護士への相談をご検討ください。

当弁護士事務所では、具体的な事情を確認したうえで、入店拒否や施設利用制限の適法性、損害賠償請求の可否などについて検討し、対応しますので、お気軽にお問合せ下さい。

「安心」と「信頼」をお客様へ。

みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

20年以上の実績を持つ弁護士が、実績と知識に基づく確かな解決をご提案させて頂きます。

ページの先頭へ