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改正裁量労働制 | 令和6年4月1日から施行

労働問題

改正裁量労働制が、令和6年4月1日から施行されます。

裁量労働制とは、実際に働いた時間とは関係なく、会社と労働者間の労使協定で定めた時間を働いたものとみなして賃金が支払われる制度をいいます。

一定の仕事を遂行する上で、時間配分などを労働者の裁量に委ねることができ、たとえば1日のみなし労働時間を10時間と定めた場合、実際に働いた時間が8時間であっても11時間であっても減額や増額はされません。このような裁量労働制の性質上、あらゆる業種・業態に適用できるものではなく、特定の業務にのみ適用されます。

この特定の業務は大きく「専門業務型」と「企画業務型」に分かれており、前者は19の業務が、後者は8の業務が指定されております。今回の見直しで裁量労働制の対象となる業務が追加されております。

専門業務型裁量労働制は現在、(1)新製品・新技術の研究開発業務、(2)情報システムの分析業務、(3)新聞、出版、放送での取材・編集業務、(4)衣服、工業製品、広告等のデザイン考案業務、(5)放送番組等のプロデューサー、ディレクター業務、(6)コピーライター業務、(7)システムコンサルタント業務、(8)インテリアコーディネーター業務、(9)ゲームソフトウェア開発業務、(10)証券アナリスト業務、(11)金融商品開発業務、(12)大学教授の研究業務、(13)公認会計士業務、(14)弁護士業務、(15)建築士の業務、(16)不動産鑑定士業務、(17)弁理士業務、(18)税理士業務、(19)中小企業診断士業務となっております。

今回の改正で健康・福祉確保措置に関していくつかの留意事項が追加されております。具体的には(1)勤務間インターバルの確保、(2)深夜労働の回数制限、(3)労働時間の上限措置、(4)一定の労働時間を超える対象者への医師の面接指導となっております。それら以外にも、年次有給休暇のついてまとまった日数連続して取得することを含めた取得促進、代償休日または特別な休暇の付与、健康診断、心とからだの健康問題についての相談窓口、適切な部署への配転、産業医等による助言・指導または対象労働者の産業医等による保険指導などが従来から留意事項として挙げられております。

今回の改正で新たに銀行または証券会社における顧客の合併および買収に関する調査または分析およびこれに基づく合併および買収に関する考案・助言業務が追加されました。

裁量労働制を見直す改正省令等が来年4月1日から施行されます。裁量労働制の導入や更新の際に必要な労使協定での協定事項などが追加されております。企業法務担当の方は、見逃さないようにして下さ

裁量労働制を採用するに当たっては、(1)制度の対象とする業務、(2)対象労働者の範囲、(3)みなし労働時間、(4)業務遂行の手段や時間配分の決定等に関して使用者が具体的な指示をしないこと、(5)健康・福祉のための措置、(6)労使協定の有効期間、(7)対象労働者からの苦情処理のための措置などの事項を協定で定める必要があります。今回の改正で「専門業務型」の場合は労働者本人の同意を得ること、同意しなかった場合に不利益取扱をしないこと、同意の撤回手続、同意および同意の撤回などについて労働者ごとの記録を5年間(当面3年間)保存することが追加されております。

「企画業務型」の場合については、同意を得ることに同意しなかった場合に不利益取扱しないことは従来から盛り込まれており、今回の改正で同意や撤回の手続き、対象労働者に適用される賃金・評価制度を変更する場合に労使委員会に説明を行うことが追加されております。

企業としては過剰な業務を負担させないうというスタンス、従業員側は過負荷を仕事を受けた場合は、相談窓口や弁護士に相談するなど、仕事のキャパティー、精神や肉体の安全性に配慮しつつ、お互いの利益を共有できる制度設計が出来るよう頑張って欲しいところです。

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