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元夫が死亡したら養育費はどうなる?

養育費

元夫が死亡したら、養育費の支払いはどうなるのか?

離婚後、元夫から養育費の支払いを受けていたものの、元夫が亡くなってしまった場合、「今後の養育費はどうなるのか」、「未払い分は請求できるのか」と不安になる方は少なくありません。

結論からいえば、元夫が死亡した場合、将来分の養育費支払義務は原則として消滅します。ただし、すでに支払期限が到来している未払い養育費については、相続人に請求できる可能性があります。また、子どもが遺族年金を受け取れるケースもあります。

まず、養育費とは、未成熟の子どもが生活するために必要な費用であり、法律上は扶養義務に基づくものです。民法877条は、親族間の扶養義務を定めています。

もっとも、相続について定めた民法896条では、「被相続人の一身に専属したもの」は相続の対象にならないとされています。養育費請求権は、親子関係に基づく扶養請求権としての性質を有するため、「一身専属権」にあたり、元夫が死亡すると、将来分の養育費支払義務は消滅すると考えられています。

そのため、元夫の死亡後について、新たに将来の養育費を相続人へ請求することは原則としてできません。

もっとも、元夫に養育費の未払いがあった場合は別です。すでに支払期限が到来している養育費は、単なる扶養義務ではなく、具体的な金銭債務となっています。そのため、未払い養育費は相続財産上の「債務」となり、相続人に承継される可能性があります。

例えば、離婚後に養育費月5万円を支払う合意をしていたにもかかわらず、数か月分が未払いのまま元夫が亡くなった場合、その未払い分については、相続人に対して請求できる余地があります。

ただし、請求できる金額には注意が必要です。子ども自身も元夫の相続人となるためです。

たとえば、元夫に再婚相手と子どもがいる場合、前妻との子どもも相続人となります。そして、相続によって未払い養育費債務の一部を子ども自身が承継することになります。

民法520条は、「債権及び債務が同一人に帰属したとき」は債権が消滅すると定めています。これを「混同」といいます。

そのため、子どもが承継した相続分に対応する未払い養育費部分は消滅し、それ以外の相続人が承継した部分のみ請求できることになります。

また、相続人が相続放棄をした場合には、その者に請求することはできません。相続放棄をした者は、初めから相続人でなかったものとみなされるためです(民法939条)。

さらに、養育費には消滅時効があります。通常の養育費債権は5年で時効となりますが(民法166条1項)、調停や審判、和解調書などで確定している場合には10年となります(民法169条1項)。

このほか、元夫が厚生年金に加入していた場合には、子どもが遺族厚生年金や遺族基礎年金を受け取れる可能性があります。

遺族厚生年金は、亡くなった者によって生計を維持されていた子どもなどが受給できる制度であり、原則として18歳到達年度末まで受給できます。再婚相手がいる場合でも、その配偶者との間に子どもがいないケースでは、前妻との子どもが受給対象となる場合があります。

元夫が亡くなった場合、将来分の養育費は原則として受け取れなくなります。しかし、未払い養育費や遺族年金など、請求や受給が可能なケースもあります。相続関係や年金手続は複雑になることも多いため、早めに弁護士へ相談することが重要です。

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