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請負契約だから労働者ではない?「労働者」とは

労働問題

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【労働講座】です。

日常でも「労働者」という言葉を様々な場面で使ったり、耳にしたりすると思いますが、今回は労働基準法などで定められている「労働者」についてのお話しを致します。

「労働者」とはどういった人々の事を指すのでしょうか?
いわゆるサラリーマン(会社員)を真っ先にイメージする方も多いのではないかと思いますが、それでは、例えば特定の会社と契約して一定の事業を請け負う形態の個人事業主は「労働者」でしょうか?
あるいはプロスポーツ選手はどうでしょうか?

「労働者」であれば、会社には残業をした場合の残業代の支払いが義務づけられていたり、不当解雇は無効となる旨が定められていたりと、労働者を保護するための法律の適用を受けることになります。

労働基準法9条では、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所・・・・に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定義されています。
(この定義は、最低賃金法などの関連法規を適用される「労働者」の定義でもあります。なお、労働契約法2条1項でもほぼ同趣旨の定義がなされています。)

ここで重要なのは、「使用される者」という部分です。

「労働者」といえるためには、「使用者」(いわゆる会社、雇用主など)の指揮命令下で業務に従事していると客観的に評価される必要があります。
(実際は契約の締結段階における他人決定性、報酬の労働対償性などといった様々な事情が考慮されて判断されますが、ここでは割愛し簡単に説明します。)

ここでは、働く人と雇う人との契約関係の形式が「雇用契約」なのか「請負契約」なのかはあまり関係がありません。実質的な判断がなされます。

例えば、映画のカメラマンの例を考えてみます。
上に述べたように、映画のカメラマンが「労働者」といえるかについては働いている実態から判断されます。

映画のカメラマンは、映画の撮影スケジュールを決められていて、個々のシーンの撮影でも、このシーンは自分が撮る、このシーンは撮らないなどの決定権がカメラマンには無く、
監督などの指示に従って業務に従事するのが一般的なのではないかと思います。
このように、時間的・場所的に拘束を受けていること、また、一本の映画を撮影するという業務に従事した対価として一定の対価が支払われること、こういった事情がある場合には、
カメラマンは、指揮命令下で業務に従事してると評価されるので、「労働者」に当たると判断されることになるでしょう。

もっとも、同じカメラマンでも、上記のような拘束がほとんどなければ「労働者」とならない可能性もあります。

このように、「労働者」といえるかどうかは、様々な事情が考慮されて判断される、法的な評価を伴うものです。

したがって、このような労働者性の問題でお悩みの方は、弁護士などの専門家にご相談されることをお勧め致します。

当事務所でも、このような労働問題に関する企業の方、労働者の方からのご相談をお受けしております。

労働問題でお困りなら、札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】までお気軽にご相談下さい。

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