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|刑事事件
「SNSの再生回数を増やしたかった」。
今月2日、回転ずしチェーン「はま寿司」の店舗で、回転レーンに流れてきた寿司に食器用洗剤のような液体をかける様子を撮影し、その動画をSNSに投稿した43歳の男性が、威力業務妨害の疑いで逮捕されました。男性は容疑を認めているようです。
本人にとっては軽い気持ちのいたずらだったのかもしれません。しかし、このような迷惑行為は単なる「悪ノリ」では済みません。刑事責任を問われるだけでなく、多額の損害賠償責任を負う可能性もあります。
近年、飲食店での迷惑行為は社会問題となっていますが、なぜ、このような行為が厳しく処罰されるのでしょうか。
今回の事件で適用されたのは「威力業務妨害罪」です。これは威力を用いて他人の業務を妨害した場合に成立する犯罪で、法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています。
ここでいう「威力」とは、暴力そのものだけではありません。人の自由な意思決定を妨げるような影響力も含まれます。
例えば、寿司に洗剤のような液体がかけられた動画が拡散されれば、多くの人は店舗に対して不衛生な印象を抱くでしょう。「この店は大丈夫だろうか」と不安になり、来店を控える人も出てくるかもしれません。その結果、店舗の営業活動に支障が生じるため、業務妨害と評価されるのです。
また、迷惑行為の内容によっては、威力業務妨害罪以外の犯罪が成立する場合もあります。店舗の設備や備品を壊せば器物損壊罪、店員に暴行や脅迫を加えて無理な要求をすれば強要罪などが問題となります。
刑事責任は行為の悪質性や被害の大きさによって判断されます。SNSで注目を集める目的だったとしても、社会的影響が大きければ厳しい処分につながる可能性があります。
迷惑行為は民法上の不法行為に該当し、加害者は店舗に生じた損害を賠償しなければなりません。その対象は、汚損された設備や備品の修理費だけではありません。店内清掃費用、廃棄した食品の損害、対応に追われた従業員の人件費、営業中断による損失、さらには店舗の評判低下による売上減少まで含まれる可能性があります。
特に全国展開する大手チェーン店の場合、SNSや報道による風評被害は極めて大きくなります。その結果、損害賠償額が数千万円規模に及ぶこともあります。
実際、スシローの迷惑動画事件では、運営会社が少年側に対して約6700万円の損害賠償を求めて提訴しました。最終的には調停が成立したため判決には至りませんでしたが、相応の賠償が行われたものと考えられています。
スマートフォン一台で誰もが情報発信できる時代になりました。しかし、その手軽さの裏には大きな責任が伴います。
「面白いと思った」「再生回数を増やしたかった」「軽い冗談のつもりだった」。
そのような動機で行った行為が、逮捕や前科、さらには数千万円規模の損害賠償につながることがあります。
SNS時代だからこそ、一瞬の悪ノリが人生を大きく変えてしまう可能性があることを忘れてはなりません。迷惑行為の代償は、多くの人が想像している以上に重いのです。
迷惑行為による損害賠償の問題でお悩みなら、当弁護士事務所へお気軽にご相談下さい。
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