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捜査機関の捜査のため被疑者の車に令状なしでGPSを付けるのは違法?

刑事事件

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【刑事事件コラム】です。

先日、こちらの記事で、携帯電話の位置情報と犯罪捜査について触れましたが、6月29日、名古屋高裁で、犯罪捜査のために捜査機関が捜査対象者の車にGPS(「全地球測位システム」。現在位置を測定するためのシステムのこと。)を令状なく取り付けて行った捜査を「違法」と判断したとの報道がありました。

今回は、引き続きGPSと犯罪捜査についてお話し致します。

先日の記事では、携帯電話の位置情報を捜査機関が取得する際に、令状自体は必要ですが、被疑者(犯罪の嫌疑をかけられている人)本人への通知が不要と変更になったという内容をお話ししました。

今回の名古屋高裁の判断の前提となった事案は、報道によると、捜査機関が令状を取ることなく被疑者の車にGPS機器を取り付けて位置情報を度々(約3か月間合計で1600回程)取得し、被疑者を尾行したという捜査方法が違法と判断されたものであるようです。

例えば逮捕や捜索(いわゆる「家宅捜索」)のような、人の身体の自由やプライバシーを侵害する捜査方法を行う際には、不必要で過度な捜査など捜査機関の権力の濫用を防止するためなどの理由から、裁判所が審査をした上で発行する令状が必要となっています。

上に述べた今回の車へのGPS機器の取り付け、位置情報をかなりの頻度で取得して被疑者の居場所を逐一つかむという捜査方法は、人のプライバシーを大きく侵害する行為であるといえるかと思いますので、この令状が必要だということになるかと思います。

では、GPS機器を取り付けて位置情報を取得する捜査の全てが違法となるかというと、今回の判決はそこまで示すものではなく、あくまで今回の事案での判断を示したに過ぎません。

結局この問題については、このような新しい捜査手法に対応するように法律を改正してしっかりとルールを確立していくしかないのではないかと思います。

捜査機関としてもGPS捜査に令状がいるのかいらないのか事案ごとの微妙な判断を迫られて迅速な捜査に支障が生じることになりますし、今後立法的措置を検討することになるのではないでしょうか。

なお、捜査が違法であると判断された場合、その捜査によって得られた証拠を裁判において使えるかという問題についてはまた別の問題が存在しますが、ここでは割愛いたします。

以上、今回はGPSと犯罪捜査についてお話し致しました。

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