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札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【労働講座】です。
先日、大阪市が、職員の賃金未払いがあったとして、過去2年分の賃金を遡って支払ったとのニュースがありました。労働基準監督署からの是正勧告を受けてのことのようです。
対象となった職員は、夜間や休日などに戸籍の届出などを受ける業務を行っていた非常勤の職員とのことです。
これらの職員に対して、仮眠時間を勤務時間とはみなさず、同時間に対応する部分の賃金を支払っていなかったということでした。
今回は、この仮眠時間と賃金支払いについてお話し致します。
今回問題となったのは、仮眠時間が「労働時間」にあたるかどうかという点です。
「労働時間」というのは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている」と評価できる状態のことをいうのが判例上確立されている解釈です。この指揮命令下に置かれていると評価できるかどうかは、客観的に判断されます。
例えば、名目上「休憩時間」としていたとしても、実質的にはその休憩時間中に例えば来客対応や電話対応などの業務を行うことを余儀無くされていた場合には、従業員が会社の指揮命令下から解放されているとはいえず、名目上の休憩時間も「労働時間」にあたる、と判断される可能性が高いでしょう。
労働時間に該当するか否かはこのように、その時間の勤務の状況などから客観的に判断されます。
そこで、今回の大阪市のケースを見てみると、問題となった「仮眠時間」中に、当直の職員が市の指揮命令下に置かれていたと評価できるかどうかによって「労働時間」に該当するかどうかが決まることになります。
今回のケースでは、仮眠時間中でも、戸籍の届出などの来客があった場合には、起床して対応にあたっていたという業務実態があったようです。
このような場合は、仮眠時間と称されていたとしても、いつ来客などがあってもいいように、業務に備えて待機をしていなければならず、市の指揮命令下から解放されているとはいえないため、「労働時間」にあたると評価されることになるでしょう。
同じ仮眠時間でも、同時間中は来客対応などの業務から一切解放されて、業務に備えた待機などもする必要がない場合には、指揮命令下にあるとはいえず、「労働時間」にはあたらないと判断される可能性が高いのではないかと思います。
このように、「労働時間」にあたるか否かは、会社の取り決めや休憩時間などの名称だけで決まるわけではなく、あくまでも労働の実態などから客観的に決まるもので、法的評価が避けられません。
したがって、労働時間にあたるかどうかでトラブルがありお悩みの企業や個人の方は、一度弁護士にご相談されることをお勧め致します。
今回は市の職員の仮眠時間のお話でしたが、これらの問題は、その他当直がある仕事に関する会社や、運送会社などでよくトラブルになることがあります。
当事務所では、このような会社や個人の方からの労働時間に関するトラブルのご相談も受け付けております。
その他残業代の問題などに関しては、みずほ綜合法律事務所の弁護士のこちら(残業代HP)をご覧ください。
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