トップページ > ブログ > 部署異動は拒否はできるか?

ブログ

部署異動は拒否はできるか?

労働問題

会社での部署異動の指示が出た場合に拒否はできるのでしょうか?

最近、育児休業明けの男性が復職後、関東から関西への異動を命じられたことをツイッターに投稿したことがきっかけで、この部署異動の問題が、社会的に大きな問題となりました。

部署異動は、原則として会社の人事権の範囲内なので、人事権の裁量の範囲を逸脱したものでない限り、部署異動は合法です。

この点、育児休業明けの部署異動ですが、「育児・介護休業法」は、育児休暇や介護休暇を取得した後の復職者に対する解雇や不利益な扱いをを禁止しています。また、男女雇用機会均等法は「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益扱い」について復職の際の給与・手当・役職は休業前と同様とすることが規定されています。

これらの法律を踏まえると、会社の人事裁量は一般の場合より厳しく制約され、人事権の裁量は、部署異動を必要性、本人が受ける不利益の程度などが厳格に判断されることになります。

例えば、育児復職後に担当部署そのものがなくなっていた場合は、部署異動しか行う余地がなく、部署異動は合法となるでしょう。

担当部署が以前と同じく存在している場合で、復職前と事情が変わっていない場合には、担当部署の異動を命じることは、人事権の裁量を超えた違法なものと評価される可能性は高いと考えられます。

担当部署が、会社業務の関係で縮小され人員が既にない場合や、担当部署の業務内容が変更されていたときなど、担当部署が復職前と異なる状態になっていた時には、慎重な検討が必要となります。部署異動の必要性と復職者が受ける不利益の程度などの諸事情を比較考慮し、人事の裁量権を逸脱したかどうかの判断となります。

会社としては、本人に変更事情を伝え本人の希望を確認すること、担当部署復職に戻すことが業務内容や人員(定員)の関係上現実に調整可な余地があるかどうか、本人を他部署に変更した場合に被る本人の不利益の内容・程度(業務内容や給与、その他の変更内容の不利益の程度)などを総合考慮し、判断さざるを得ません。

但し、担当部署への復職や、給料維持は原則であるため、それらの変更は余程の事情がない限り、不利益扱いとなる可能性は高いため、本人は部署異動に拒否をすることが原則として出来ると捉える方が、会社に求められる姿勢となります。

企業や個人の方で、育児・介護休職明けの復職者の扱いなどでお悩みの方は、お気軽に当事務所へご相談下さい。

その他の労働問題でお困りの方はこちらのHPをご参考にして下さい。

「安心」と「信頼」をお客様へ。

みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

20年以上の実績を持つ弁護士が、実績と知識に基づく確かな解決をご提案させて頂きます。

ページの先頭へ