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性同一性障害のトイレ使用制限問題

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LGBTが社会問題として広がりを見せるなかで、性同一性障害などを持つ人が、日常生活を営むうえで、どの程度の保護を受けられ、どの程度の制限を受忍しなければならないのかは、非常に重要な問題と言えます。

性同一障害の人が職場で働く場合に、考えられる問題として、性別の異なるトイレを使用して良いのかどうかですが、これを巡り、経済産業省でのトイレの使用制限を巡る裁判が挙げられます。

経済産業省で、性同一性障害で女性として働く50代の男性職員が、職場の女性用トイレの自由な使用などを求めた訴訟で、一審判決は職場でのトイレの使用制限を違法と認定しましたが、控訴審はトイレの使用制限を違法と認定せず、逆転敗訴となりました。

原告は、経済産業省で働く男性職員で、就職後に専門医に「性同一性障害」と診断され、2010年に職場の同僚への説明会などを経て女性の身なりで勤務をしていました。しかし、職場の方で抵抗感を感じる同僚がいることを理由に、本人が勤務するフロアとその上下1階ずつの女性用トイレの使用を認められなかったため、原告はトイレの自由な使用を求めて裁判を提訴したものです。

控訴審は、一審と同様に「性自認に基づいた性別で生活するのは法律上保護された利益」と認定しましたが、被告である経済産業所は、他の職員の性的羞恥心や性的不安なども考慮して適切な職場環境を構築する責任を負うことから、経済産業省の「トイレの使用制限はその責任を果たすための判断であり、裁量を超えるとは言えない。」と認定し、一審の使用制限を違法とした判決を棄却しました。

LGBTの問題が社会的に関心の強い問題となっていますが、現実にどのような制限や保護を受けられるのかについて社会的にはほとんど議論が進展していない状態です。

特に裁判は、社会的問題については、社会的意識の変遷や現在の社会的意識がどのような状態かを判断基準の大きな要素とするため、議論が進展していない状態では、判断は社会意識の追従となりがちです。

そのため、LGBTの日常生活や社会生活がどの程度保護されるかは、早期に国や自治体などが法律や条例の制定で解決を目指し、議論を活発化させることが重要で、国民の理解度などの調査も重要となってきます。経済指標の調査とともに、このような社会や文化的な指標調査も国として行うのが望ましいと思われます。

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