トップページ > ブログ > 性別変更前と変更後で親子関係に違いは生じるか?|東京高裁判決
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|親子関係
元男性が凍結精子を保存し、女性に性別変更した後に、パートナーとの間で子供を設けた場合、元男性はその子供の親となれるのでしょうか?
東京高裁で、女性に性別変更した元男性が、自分の凍結精子で女性パートナーとの間にもうけた女児2人を子供として認知できるかどうかが争わました。
東京高裁は、性別変更前に生まれた長女(4歳)の認知を認めましたが、性別変更後に生まれた次女(2歳)について認知を認めないという判断をしました。
東京高裁は、民法上、凍結精子を提供した男性が、生殖補助医療で生まれた子供を認知できるかどうかの規定はないが、このようなケースでDNA上は親子関係がある以上、一概に親子関係を否定する理由とならないと指摘し、「生物学的な親子関係があり、戸籍上も男性だった当時に生まれた長女」については認知できるとして、親子関係を認めました。
他方で、次女については、元男性の性別が出生時に変わっていたことから、生物学的な親子関係があっても、法律上は父としては認められないと判断しました。
なお、1審の東京家裁では「現行の法制度では親子関係を認める根拠が見当たらない」として、いずれの認知も認めませんでした。
性別の変更を認める法令は制定されたものの、親子関係についてこれを踏まえた法令の検討や改訂がなされておらず、裁判官の価値観により判断が分かれる点は、やむを得ないものかと思います。
但し、血縁関係から親子や兄弟などの親族関係を区別してきた日本人の価値観と、性別変更を認める日本人の価値観からすると、性別変更後の子の認知を現時点では認める余地も十分にあるのではないかと思います。
司法判断も必要ですが、親子関係と性別変更との関係に関する空白を埋める法令の整備が早急に進められるべき分野です。
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