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就活ウェブテスト代行サービス利用|懲戒解雇事由となるか?

労働問題解雇

就職試験の際、一般常識や性格などをみる適性検査を見る検査がありますが、コロナ禍で試験会場だけではなく、自宅からオンラインで受験を利用する企業が増えています。

このような時勢下に対応し、オンラインの適正検査を替わりの人に受けさせる受験代行サービス業の利用が増えています。

昔の替え玉受験の現代版のようです。

オンラインの適正検査を受検代行サービス業者によって通過し、その後の面接などを通過し就職した後に、受験代行業者の摘発により、受験代行サービス業者を利用し、入社した社員についての処分の問題に発展するケースがあります。

解雇が出来るかですが、入社前の行為であるため、入社後の「能力不足」、「業務怠慢」、「不正行為」などを想定した解雇事由に該当はしません。

それでは、入社前の解雇事由としてよく規定されている「経歴詐称」に該当するかですが、経歴は学歴や職歴などを示すもので、受験代行サービスの利用はこれに該当しません。

解雇には、就業規則の解雇事由に記載された条項に該当することが必要ですが、最近、発生したこのような受験代行サービスを就業規則の解雇事由に記載している企業は極めて少ないと考えて良いでしょう。

それでは、受験代行サービスを利用した社員を解雇することは出来ないのでしょうか。

解雇は、就業規則の解雇事由に記載されている必要性があるのは、従業員に解雇となる事由を明確にさせ、従業員が解雇となる行為をしないよう予見可能性を持たせる意図があります。

会社が解雇事由を記載するのも同じく予見可能な不適当な行為などであり、全てを記載するのは不可能なため、解雇事由に記載がないからという理由で一律に一切解雇ができないというのも現実的に不都合な結果が生じます。

解雇は、会社の存続や維持のために必要な行為である以上、解雇規定に記載がない場合でも、「会社での就労を著しく困難にさせる事情」を理由とした解雇は認められるべきで、判例が就業規則に規定のない事由による解雇を認める例があるのも、このような事情に基づくものです。

適正検査を受験代行サービスで通過したことが「会社での就労を著しく困難にさせる事情」に該当するかですが、そもそも一連の入社試験を受けて入社した訳ではないため入社試験を通過したとは言えないこと、入社試験での代行受験は会社に入社する前の会社に対する信頼関係を破綻させる行為であること、入社試験という重要な手続きにおいての不正は仮にそのテストが通過率の高いものであったも「経歴詐称」と同じく会社に虚偽の申告するという点では同様であることなどを踏まえると、受験代行サービスを利用した社員の解雇は、たとえ就業規則の解雇事由欄に記載がなくても解雇でき、同解雇は適法と評価されるものと思われます。

但し、解雇権の濫用となる場合解雇は無効となり、また解雇には一定の手続きが必要なため、解雇を行う場合には慎重な検討が必要です。

社員、従業員の解雇の問題でお悩みの方は、当弁護士事務所へお気軽にご相談下さい。

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