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黒い雨訴訟|広島高裁が救済基準をより広く

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黒い雨訴訟とは、広島への原爆投下後に降った雨(核爆発に伴う放射性物質や火災のすすを含む。)を受け、それにより健康被害を受けた人たちが国を宛て形に被爆者健康手帳の交付を求める裁判です。

国は、黒い雨は当時の調査資料で爆心地の北西側にある楕円状の範囲(南北約19キロ、東西約11キロ)内に降ったとし、この区域内にいることが被爆者健康手帳の交付要件となっています。

提訴者はこの区域外にいたため、黒い雨訴訟では、どの範囲にいた人が保護されるかが主な審査対象となっています。

広島高裁は、被爆者援護法が「原爆の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」と定める「3号被爆者」について「放射能によって健康被害が生じることが否定できない状況だったことを証明できれば足りる」とした。

そして、黒い雨には放射性降下物が含まれている可能性があったこと、直接雨を浴びなくても汚染された地下水などで放射性物質を体内に取り込む「内部被ばく」で健康被害が生じる可能性があり、黒い雨に遭った原告らを3号被爆者と認定した。

黒い雨が降った範囲やそれが身体に与える影響について厳密に立証を求められた場合には、1945年の出来事であることや、原告らの高年齢化に伴う病気か黒い雨によるものかなどは、非常にハードルが高く、裁判で求められる立証基準を満たすことは非常に難しいと言えます。

しかし、広島高裁は「被爆者に対する健康管理や治療を尽くすという法の意義を踏まえると、住民らに厳密な根拠を求めるのは無理がある」として、立証基準を大きく緩和しました。

現在の裁判制度でも、事故当時から被害の立証のために証拠を残す人は稀といっていい状態であり、被害に遭っても敗訴することがあります。

1945年の原爆被害について、立証基準を緩和した広島高裁の手法は合理的と思われ、他の民事裁判や行政裁判でも事案に応じた立証基準の緩和などが見直される動きへ繋がると良いと思います。

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