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「生活保護費基準の引下げ」は違法|大阪地裁

コンプライアンスその他

生活保護費の基準額の国による引き下げは違憲だとして、生活保護費受給者らが国に対し、引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟で、大阪地裁は「裁量権の逸脱や乱用があり、生活保護法の規定に反し違法」と判断しました。

生活保護費の引き下げを違法と判断した理由について裁判所は、(1)世界的な原油価格や穀物価格の高騰で、特異な物価上昇が起こった08年からの物価の下落を考慮(2)物価下落を生活扶助基準の改定に反映させた際、総務省公表の消費者物価指数ではなく、厚生労働省が独自に算定した指数を使用した点などが挙げられました。

裁判所は、厚労省の指数について「統計の客観的な数値や専門的知見との整合性を欠き、最低限度の生活の具体化という観点から、判断の過程や手続きに過誤や欠落がある」ことを具体的に認定しました。

同種の訴訟は、他に約30弱の自治体にも提訴されているため、他の裁判に与える影響は大きいものと考えられます。

政府の社会福祉の保証は、様々な面で自助の方向へと動いています。

生活保護費基準の引き下げは、生活保護だけの問題ではなく、健康保険の負担割合の増加や年金支給額の低下、それをカバーするための65歳から70歳までの雇用期間の延長など、公助主義から自助主義の方向に変化しています。

自助の議論も必要ですが、その前に国や自治体の予算について不透明・不適当な支出を削減することを徹底しなければ国民の理解が得られないのではないかと思われます。

この生活保護だけの問題ではなく、社会保障全般に通じる問題として考えた方が良い問題ではないかと思います。

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