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他人の所有地に無断駐車の代償は?

不動産問題損害賠償

他人の所有地に無断で車やバイク、自転車を止められた経験はないでしょうか。そのような場合、所有者や管理者は、無断駐車をした人に対し、賠償金の支払いを求められるのでしょうか。

法律的には、土地について無断で駐車をした人との間に契約関係は何らないため、土地所有者などは無断駐車をした人に対し、契約に基づく賃料などの請求は出来ません。このような場合に、「無断駐車の場合は金〇〇万円の罰金を申し受けます」などの看板が見受けられますが、この点も無断駐車した人との間では、この内容の契約が成立している訳ではないため、実際にはこの看板に基づく罰金の支払いを求めることも困難です。

法律関係がないにも関わらず、他人の土地に合理的な理由なく駐車をした場合には、不法行為(民法第709条)を根拠にその損害を請求することが可能です。

例えば、有料駐車場に無断駐車をした場合に、無断駐車時間に対応した駐車料金が損害となるため、1時間当たり1000円で5時間無断駐車をすれば、5000円の損害賠償を請求できることになります。

民家の私有地の場合、私有地を貸し出す目的で値段設定をしていないため、例えば近隣の駐車場の駐車料金を参考に、損害賠償を請求することが考えられます。

マンションの賃貸駐車場の場合は、月毎に駐車代金が定められていることが多いため、駐車代金が月2万円としたした場合、無断で駐車した日数や駐車時間で2万円の駐車代金の一部の支払いを請求することが可能です。

コンビニやスーパーでは、買い物をする目的で車両を止めることを許可しているため、無断駐車をしている人に対し損害賠償請求をする場合には、無断駐車をした人が買い物をする意思がなかったと言える程度に長時間、無断駐車をしていたことが必要と考えられます。

また、買物目的での駐車ではないと判断された場合の無断駐車の損害の計算方法ですが、止めたことで損害が発生したことが必要なため、コンビニなどでは数台の駐車場が多いことから近隣の駐車場の駐車料金を基準に算定することになるものと思われます。

逆にスーパーなどでは、駐車スペースが広いため、止められたことで即損害が発生するかという問題は残りますが、基本的には同じく近隣の駐車場の駐車料金の計算方法を用いるのが合理的かと思われます。

無断駐車をした車両をレッカー移動し、保管場などで保管することは、自力救済として本来、違法行為となりますが、裁判実務では無断駐車費用の他にこれらの費用の支払いが概ね、認められるものと考えられます。

例えば、家の賃貸契約で物件内に荷物を残したまま明け渡しをした人に対し、賃借人が残置物を撤去することが契約上義務付けられていますが、この残置物を家主(賃貸人)が処分することは賃貸借契約書に明記がない限り、自力救済となります。しかし、裁判所実務では、契約書にそのような条文がない場合でも、家主が要した残置物の処分費用を賃借人へ請求することを認めておいることからも、余程高額な費用でない限り、レッカー移動費用などの実費相当額の請求は認められるのが妥当な判断ではないかと思われます。

土地への車両の無断駐車や不動産問題でお困りな方は、お気軽に当事務所へご相談下さい。

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