トップページ > ブログ > 別居夫へ子の引渡命令|子が拒む場合でも【最高裁】

ブログ

別居夫へ子の引渡命令|子が拒む場合でも【最高裁】

親権離婚

別居後に子の引き渡しを求めて、トラブルになる事案は相当数あります。

例えば、母親だけが先に別居し、後に父親に対し子の引き渡しを求める場合、家事審判手続きで「子の監護者」の指定を受けたうえで、子の引き渡しを求めることが可能です。

それでは、子が母親の所へ行きたくないと、引き渡しに拒否の意思表示をした場合、子の引き渡しはどのようになるのでしょうか。

この点、2019年に最高裁で、同居を拒む子に対し、引き渡しを認めないという決定をした事例があります。

この事案では、裁判所の執行官が、子を引き渡す手続きのために、子の家を訪問した際に、子が激しく泣いて拒絶したことことを最高裁は「子は自由意思で父親と同居している」と判断し、引き渡しを認めませんでした。

しかし、一般的には、子が引き渡しを拒否した場合でも、子の引き渡し手続きは、行われると考えて良いと思います。

例えば、2020年に家事審判で母親が監護者に指定され、母親が父親に長男と次男の引き渡しを求める手続きをとった事案があります。

母親が父親宅を訪れて当時5歳の次男の引き渡しを受けましたが。8歳だった長男は、両親の約2時間にわたる説得に応じず、抱えようとした母親を押しのけけるなどの抵抗をしました。

母親は、長男の引き渡しを求める「間接強制」(引き渡すまで父親に罰金が科せられる手続き)を申立をし、認められました。

これに対し、父親が即時抗告をしたところ、大阪高裁は、長男の引渡しの強制は「過酷な執行で許されない」と判断しました。

この大阪高裁の判断に対し、最高裁は、家事審判で子の引き渡しが命じられた場合、子の年齢や発達の程度などを踏まえ、心身に有害な影響を及ぼさないよう配慮し、引き渡さなければならないと指摘し、子の引渡しの拒絶は、直ちに間接強制決定を妨げる理由にならないと判断し、大阪高裁の判断を否定しました。

従って、子が引き渡しに応じない意思を示したとしても、子がまだ幼少で判断能力が不十分である場合は、子の拒否は引き渡しを妨げる事情とは評価しない。

しかし、子がある程度の年齢に達しており、子の引き渡しの手続きを自ら妨害するほど強い抵抗を示す場合は、子が自らの自由意思で、相手方の所にいると評価できるため、そのような例外的事情が認められる場合のみ、引き渡し手続きの強制執行が出来ないと考えるのが合理的です。

子を置いて別居をしてしまって子の引き渡しを受けたいなど親権や監護権、子の引き渡しなどの問題でお困りの際は、お気軽に当弁護士事務所ご相談下さい。

「安心」と「信頼」をお客様へ。

みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

20年以上の実績を持つ弁護士が、実績と知識に基づく確かな解決をご提案させて頂きます。

ページの先頭へ