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あおり運転に殺人罪の適用

交通事故

大坂酒井支部は、1月25日に、あおり運転で車をバイクに追突させ、死亡させた事案について、殺人罪を認定し、懲役16年(求刑18年)の判決を言い渡しました。

あおり運転は、近年、問題となっている車の運転方法の一つで、例えば高速道路上で気に入らない車両を見つけた場合に、幅寄せ、クラクション、異常な接近、急減速など故意に嫌がらせの運転方法をとるものです。

従来は車と車が接触していない場合なので、刑法を適用せず単に車の運転方法の問題として道路交通法違反による処理をしていました。

しかし、東名高速道路死亡事件(家族4人死亡)が起きてから、警察庁はあおり運転の対策として、車の直接の接触がない場合でも暴行罪など刑法に基づく積極的な取り締まりをするよう各警察へ通達を出し、あおり運転の取り締まりを強化する対策をとっていたところです。

今回の事案は、約1キロ近くにわたり、被害者を追いまわし、一方的に後ろから追突させ、被害者を死亡させる走行方法でした。

弁護側は、被告人がクラクションを鳴らしたのは被害者に危険と警告するため、故意に衝突させる意図(殺意の否定)はなかったなどとして、過失運転致死罪などの主張をしましたが、それらの主張は退けられました。

犯行状況は、被告人のドライブレコーダーに記録されており、衝突後に、被告人は軽い口調で「はい」「終わり」とつぶやきました。この発言の真実は分かりませんが、その軽い口調からは弁護側が主張する「自分の人生が終わった」などではなく、被害者の人生が終わったことを示唆するものと思われ、判決でも同趣旨の認定がなされました。

今回の殺人罪の適用は、あおり運転に対しては異例の適用です。

しかし、あおり運転が被害者へ死をもたらす可能性や、加害者側の被害者が死んでもよいと思えるような運転態様からは、今回の殺人罪の適用は妥当であったと思われます。

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