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誹謗中傷の投稿者の特定方法が変わる?アマゾンへの発信者情報開示請求について

誹謗中傷

先日、通販サイトのアマゾンに掲載された商品のレビュー欄に誹謗中傷のコメントを書き込んだとして、投稿者の個人情報を特定するための「発信者情報開示請求」を認める裁判が東京地裁でなされました。

この裁判では、アマゾンが保有している投稿者のIPアドレスのほか、氏名や住所などの開示も認められたようですが、これは意義のある判決だと思います。

従来は、本ホームページの誹謗中傷のページでも記載したとおり、匿名の誹謗中傷の書き込みをした投稿者を特定するためには、①書込みがなされたサイトの運営者に対して、投稿者のIPアドレスなどの情報開示を求める(必要に応じて裁判も行う)、②上記①で得られたIPアドレスから投稿者の契約プロバイダを特定して同プロバイダに対して投稿者の個人情報(氏名、住所等)の開示を求める(これも場合によって裁判が必要)、という①、②の2段階の手続きが必要となっていました。

手続として手間がかかりますし、当然時間とお金もその分必要になります。

また、上記①のIPアドレスなどの発信者情報は一定期間で消去されてしまうおそれがありました。従来は、弁護士が発信者情報開示請求の依頼を受けた場合には、上記IPアドレス等の保存を依頼するなどしていましたが、保存がなされなかった場合に上記①の手続きに時間を要していると、その間にIPアドレス等が消去されてしまい投稿者の特定が困難になってしまうおそれもありました。

今回のアマゾンの裁判例のように、上記①、②の2段階の手続きを要せずに1回の発信者情報開示請求によって投稿者の個人情報が特定できるのであれば、費用、時間、手間、そして上記のリスク全てが減り、誹謗中傷の被害にあった個人、企業にとって大変メリットがあります。

もっとも、今回のアマゾンは、通販サイトであり投稿者の個人情報を保有しているという特殊なケースであったため、このような判決が出たと考えられます。

例えば、匿名掲示板への誹謗中傷の書き込みがなされた場合、当該掲示板の管理者が投稿者の氏名や住所などの個人情報を保有していない場合が多いと思いますので、その場合には従来どおり上記①、②の2段階の手続きが必要になると思います。

 

いずれにしても、今回の裁判例によって、誹謗中傷の被害に遭われている個人や企業の方の被害回復の手続きがよりスムーズになることを期待したいと思います。

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