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民法(債権法)改正について~連帯保証人制度の重要な変更点~

民事一般

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【民事コラム】です。

前回のブログでもお話した、民法の債権法分野の改正について、今回もお話したいと思います。
(なお、改正された法律が実際に施行される(効力を有する状態となる)のは、実際にはもう少し先の予定です。)

今回は、保証人制度(連帯保証人も含む。)の重要な変更点の1つについてお話致します。

今回注目したい変更点の1つが、個人根保証契約に関する極度額ルールが定められたことです。
具体的な説明のため、物件を借りる際の賃貸借契約を例にしてご説明します。
(実際は、以下に説明する賃貸借契約だけでなく、例えば個人が保証人となるフランチャイズ契約などの契約でも適用になると考えられます。)

賃貸借契約というのは、ある物件(部屋)を、そこに住むためや、お店を経営するために一定期間借り、これを借りていることの対価として、一定の賃料(家賃)を支払うという約束をする契約のことをいいます。

そして、多くの場合、物件を借りる時は、「保証人をつけること」という条件を出されると思います。

ここでいう保証人は、多くの場合法律上の「連帯保証人」であると思いますが、この連帯保証人は、物件を借りる本人(借主)が物件を借りる際に、契約書の連帯保証人の欄に、連帯保証人も署名押印をすることを求められると思います。
そして、その契約書には、通常、連帯保証人の義務として、その賃貸借契約から生じる借主本人の債務の「一切」を保証する、という文言が入っています。

これはつまり、物件を借りる本人が家賃を滞納した場合の滞納分の家賃を全て支払う義務や、家賃を滞納したことにより発生した遅延損害金や、その他賃貸借契約上、借主に支払う義務が生じた諸費用(例えば物件の退去に伴い発生した費用などもあり得ます。)の「全て」を、連帯保証人が支払う義務を負う、という内容となっています。
(借主本人に支払う義務があるのはもちろんなので、借主本人と連帯保証人両方に支払う義務があるというイメージです。)

そうすると、借主本人の家賃滞納期間がどんどん増えていって家賃を滞納すればするほど、保証人としては滞納した家賃などを上限なく支払わなければならないという危険があります。
親族などから連帯保証人になることを頼まれて引き受けたら、何年か後に突然高額な滞納家賃の支払いを求められトラブルに発展した、といったケースは、これまで多く発生してきました。
(実際のところ、連帯保証人が個人の場合、上に述べた危険があることを最初の契約の段階に知っている、十分理解しているという人はそこまで多くは無いと思います。)

このようなケースに対して、連帯保証人の無制限の責任が発生してしまうおそれのある現行の制度について、制度的な問題も指摘されていました。

そこで、今回の改正では、上に述べたとおり、賃貸借契約などの契約について、個人が保証人となるようなケースの場合に、契約の時点で、保証人の責任に一定の上限(これを「極度額」といいます。)を設けるように制度が変更されました。

改正後は、上の賃貸借契約の契約書の文言も、借主本人の債務の「一切」を保証する(上限なし)、という文言ではなく、契約から生じる借主本人の債務について「極度額●●円」の範囲で保証する、というような文言に変更されることになると思います。
(上記の「●●」には具体的な金額が入りますが、具体的な金額がいくらになるかは、実際の契約書を保証人がよくよく確認し、その金額に合意できるかをよく考える必要が出てきます。)

これによって、保証人の責任に一定の上限が設けられるようになりましたが、その上限は基本的には、債権者(賃貸借契約でいうと物件を貸す人)と連帯保証人との間の合意さえあれば自由に決められることになると思われますので、保証人となる方は、契約書をしっかりと確認する必要があることには変わりがありません。

以上、今回は個人根保証契約に関する極度額ルールについて、民法改正により生じた変更点についてお話致しました。

上に述べた賃貸借契約の保証人などに関してお悩みの方は、札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】までお気軽にご相談下さい。

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