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送迎バス園児死亡|刑法・民法上の責任は?

刑事事件損害賠償

社会福祉法人で運営している保育園で、送迎バスに園児(5歳)が取り残されて亡くなるという非常に残念な事件が発生しました。

報道によると死亡した園児が取り残された原因は、園長が泣いている子に気を取られ、乗車した園児の数などを十分に確認することなく、園児をバスに取り残してしまったとのことです。

送迎バスのなかは9時間の炎天下に晒された以上、湿度の極めて高いサウナに入っているようなもので、到底、5歳の子供が耐えられる環境ではなく、園児が受けた苦しみは相当に辛いものだったことは想像に難くありません。

このような場合、園長に対し、刑法や民法上どのような責任が発生するのかを考えてみたいと思います。

刑法上の責任としてまず考えられるのが、業務上過失致死罪(刑法第211条)です。園長は故意ではないため、過失により園児を死に至らしめたため、業務上過失致死罪により、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金を負う可能性が高いと言えます。

過去にも同種の事故で刑法上同様の責任を問われているため、園長の今回の刑事責任も同様に処分される可能性が高いでしょう。

民法上の責任としては、園長に不法行為(民法第709条)、社会福祉法人には使用者責任(民法第715条)により、園児の遺族である両親に対し、損害賠償を支払う義務が発生します。

民法は原則、損害を金銭として評価するため、園児の遺族が請求することになる内容としては、園児の死亡慰謝料、両親の精神的苦痛、園児が18歳から67歳まで稼働していた場合に得られた経済的収入、園児の葬式費用などが主たるものになります。

園児の死亡慰謝料は2000万円~2500万円、園児の年収は550万円(男性の統計上の平均年収)の49年分ですから、相当に高額な賠償金を支払義務を負うことになります(ない、実際には一括で支払いを受ける場合には年5%の複利を控除するため17.365のライプニッツ係数をかける必要があります。)。この場合は、非常に簡略な損害計算ですが、合計で1億1550万7500円から1億2050万7500円程度の賠償金を支払う義務が発生します。

非常に痛ましい事故でこのような事故が起きるのを防止するために日頃から点検マニュアルの作成と徹底をするのが望ましいです。

このような事件、事故に遭われた方は、お気軽に当弁護士事務所へご相談下さい。

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