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養子縁組届の偽造トラブルの増加

親子関係

最近、自分が知らない間に誰かの養子になっていたという養子縁組の偽造問題が、増加しています。

勝手に養子縁組を行うことは当然に犯罪で、このようなことが行われる動機は節税目的のために養子を増やすなど相続税の脱法手段や、養子に対する助成金の受給目的、犯罪集団の家族構成を偽る目的など悪質なケースが大半です。

このような偽造の養子縁組届出が作成され受理されてしまう原因は、養子縁組届が、市区町村役場で実質的に審査がされないことが原因となっています。

養子縁組届出は、必要書類、当事者と承認2人の署名・押印など形式性が整っていれば基本的に受理がなされます。

但し、届出人のいずれかが、届け出の前の6カ月以内に養子縁組または離縁を2回以上行っている場合や届け出人のいずれかが、届出時までに、養子縁組または離縁を3回以上行っている場合など、養子縁組届が虚偽であると疑われる場合については管轄の法務局が調査をすることがあります。

このように無断で養子縁組をされていることが発覚しても、養子縁組は自然に解消されるものではないため、被害者は法的手段でこれを解決しなければなりません。

養子縁組届が勝手に提出された場合の法定対応手段としては、(1)養子縁組無効確認調停と(2)養子縁組無効確認訴訟を提起して対処することになります。

訴訟の前に調停前置主義という制度のため、訴訟の前に養子無効確認調停を行う必よがあります。

訴訟の相手方が養子縁組届出の偽造を認め、養子縁組の無効を認めると、養子縁組無効の調停が成立し、これを市区町村へ提出することで、養子縁組を解消することが可能です。

仮に相手方が調停段階で養子縁組届出の偽造を認めなかった場合は、養子縁組無効確認訴訟を提訴する必要があります。

養子縁組届出が本人の同意なく、勝手に作成されたということを立証する必要があります。

全くの他人が作成した場合であれば、本人の同意なくという点の立証は、比較手、容易です。

但し、養子縁組は、当事者間の「縁組意思が合致すること」と「養子縁組の届け出をすること。」の2つの点の意思の合致が必要です。

養子縁組の動機が節税目的であっても、養子縁組の意思は合致しているため、節税意思による養子縁組の意思の合致について、最高裁も2017年に養子縁組の意思の合致を否定するものではないと評価しています。

養子縁組を法的に解消する方法は上記のとおりですが、知らない相手に偽造の養子縁組届出をされた場合は、相手方の行為は、有印私文書偽造と公正証書原本不実記載罪に該当するため、刑事告訴などの手続きや民法上の慰謝料請求などの訴訟も可能です。

養子縁組の無効と類似するものとしては、婚姻届、協議離婚届、協議離縁届、認知届などがあります。

無断の養子縁組届出・婚姻届、協議離婚届、協議離縁届、認知届のトラブルに遭われた場合は、お気軽に当弁護士事務所ご相談下さい。

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