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有料老人ホームでの誤嚥事故|問われる責任の内容や防止方法は?

有料老人ホームは、平成元年には150軒程度の規模でしたが、令和元年では、1万4千軒の施設を超えています。

超高齢者社会へ向け、有料老人ホームは増えていくでしょうが、このような老人にいる施設でおきやすい事故の典型的なものは、転倒事故や誤嚥事故となります。

例えば、誤嚥事故で、入居者の老人がなくなった場合に、施設に「過失」が認められる場合、施設が問われる責任としては、どのようなものがあるでしょうか。

(1)行政責任
許認可の取消し、業務改善命令、業務停止などの行政処分を受ける可能性があります。
場合によっては、地方公共団体からの指定の取消しや効力停止などとなる恐れがあります。

(2)刑事責任
施設の職員の過失で利用者が死亡・負傷するなどした場合、職員は業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。
(5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金)

また、事故に対し、施設側にも過失が認められる場合(職員に対して負荷の高い勤務体制を強いていたなど)には企業側の責任も追及されます。
場合によっては、業務上過失致死傷罪が成立するケースもあります。

(3)民事責任

死亡者の遺族に賠償金を支払う責任があります。

施設が責任を問われるか否かについて検討する際は、①入居者の嚥下能力、②当日の心身の状態、③提供する食材の性質や大きさ、④食事の際の職員に見守り、⑤誤嚥した場合の事後対応の内容の速さや的確性などが重要なポイントとなります。

入居者(老人)は1人1人、嚥下能力に差があるため、定期的に嚥下能力を反映した食材の大きさや、柔らかさなどの食事を準備する櫃ようがあります。

当日、入居者が、体調不良を訴える場合には、嚥下能力が下がる可能性が高く、栄養との兼ね合いから、セリーなど普段より食べやすいものの提供を検討すべきでしょう。

また、食事中に、会話やせき込みなどで、嚥下事故につながる可能性があるため、食堂には、職員を数名は必ず常駐させ、入居者の食事を見守り看視する必要があります。

誤嚥事故が起きた場合は、直ぐに救急車を呼ぶのと同様に独自に誤嚥物を取り出す努力を適切に行う必要があります。場合によっては除細動器も速やかにに用意する必要があります。

ここまでは、一般的に考えられる誤嚥対策となりますが、実際に行う場合は、相当なマンパワーが必要となります。

これらの仕組みの要諦は、入居者の誤嚥能力を各職員が共通認識できるかどうかで変わってくるもので、これを記憶を頼りに行うのは事故の元になります。

ITで、できるだけ情報を共有化し、日々、情報を更新していく中で、事故の防止を防ぐようにします。

有料老人ホームや、介護施設での誤嚥事故や転倒事故などでお悩みの福祉施設の方や、被害者の遺族の方は、お気軽に当弁護士事務所へご相談下さい。

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みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

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