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教師が部活動で過労死|学校は責任を負うか?

労働問題労働災害

近年、中学校の教師などが部活動の顧問やテストの採点などで、多忙過ぎ、休みがとれないなど過密な長時間労働が問題となっています。

この点、2016年7月、公立中学校の教諭が「くも膜下出血」が発症し、死亡した事件がありました。

遺族は、市に対し、教師が死亡したのは、部活動に伴う長時間労働による過労死で、市が勤務時間を適切に管理する義務(安全配慮義務)に違反したことを理由に裁判を提訴していました。

教師は当時、進学をする3年生の担任で、理科の教科を担当しており、女子ソフトテニス部の顧問も兼ねていて、土日もテニス部の練習や試合に参加していました。

判決は、くも膜下出血を発症する前の6か月にわたり、月あたり平均89時間の時間外勤務に従事していたこと。過労死の目安とされる月80時間を長期間にわたり上回っていたこと、5月30日から6月25日までは27日間の連続勤務であったこと、1日の休みをはさんで、6月27日から7月21日まで25日間の連続勤務となっていました。

死亡という結果について、市は「部活動」は「教員の自由裁量」で行われており、本件死亡は長時間労働による「公務災害」を主張しました。

これに対し、遺族側の主張は、市の方(具体的には学校の「校長」)が、教員の勤務時間を適切に管理する「安全配慮義務」を怠ったことが原因であるとの主張です。

富山地裁の判決では、該当の中学校では、基本的にすべての教員がいずれかの部活動顧問を担当することになっており、その配置決定に校長および校内の校務運営委員会が関与していたこと、朝練には顧問の指導の下に実施すること、放課後練習でも生徒が帰宅するのを見届けることなどの取り決めがあるため、「顧問としての業務が全くの自主的活動の範疇に属するものであったとはいえない」と評価しました。

そして、部活動指導業務記録簿や、部活動指導に関する休日手当の算定の基礎となる特殊勤務実績簿に校長が押印していたことなどから、教諭が過重な業務に従事していることは客観的に認識できたことから、校長には「(果汁業務を)是正すべき義務を負っていた」と認定し、市(校長)の安全義配慮義務違反を認定しました。

本件は、中学や高校の教師で、顧問等を受け持つ過重労働や過密労働に対し、学校内(校長)で、管理是正を校長などが行う義務があることを認めたもので、教員の労働時間の管理について、会社同様に、学校の教育に対しても安全配慮義務が課されることを示した点で、意義のある判決です。

長時間労働、過密労働などで疾患や死亡、自殺などに至ることは多く、そのような問題でお困りでしたら、当弁護士事務所へお気軽にご相談下さい。

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