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元役員の従業員大量引抜行為|会社は事前防止策を講じているか?

労働問題

コンサル大手「デロイトトーマツコンサルティング」の元役員が転職先の競合他社に元部下を引き抜いたとして損害賠償を求められていた訴訟で東京地裁は元役員に約5千万円はの支払いを命じました。

このような元従業員や役員による引抜行為は、実際には多々行われていますが、これを止めようとしてもなかなか難しく、得に社内秘密を持つ役員などが転職する際は、会社は様々なリスクを負います。

人材の引き抜きは、どこまで適法か何処からが違法なのでしょうか。

取締役(役員)は、会社に対し忠実義務を負っているため、役員が「在職中」にこの義務に反し、従業員を引き抜き行為をした場合、忠実義務違反となり、会社などに賠償義務を負います。

それはでは、取締役が「退職後」に従業員を引き抜く行為は違法となるのでしょうか。

役員は退職後は、会社に義務を負っていないため、退職後の引抜行為は原則として適法となります。

従って企業の方でこれを止めるために役員に対し、退職前に(1)競業避止義務(同一類似業種で一定期働くことを禁止すること)、(2)引き抜き防止義務(従業員を引き抜く行為を禁止すること)などの誓約書を書かせることがあります。

但し、役員が誓約書に署名捺印をする義務はないため、この誓約書が作成されない場合、原則として役員の退職後の引抜行為は、適法となります。

では、一切の引抜行為が適法になるかというと以下のような場合は不法行為や不正競争防止法違反となり、引抜行為が違法となる可能性があり、裁判上は、引抜行為の実態などを考慮し、社会的相当性を逸脱した場合は、不法行為となる可能性があります。

例えば、退職前に大量に人員を引き抜き計画を作成し、退職後に多くの従業員を引き抜くなどは、単なる勧誘の程度を社会的に著しく逸脱しているため、退職後の行為をいえども不法行為と評価される可能性が高いです。

また、退職後に会社の有能な人材をリストアップし、一斉に引き抜き行為を行う場合で、その引き抜きが勧誘を超えて競合退社で具体的年収や地位までも明示されているような場合は、社会的相当性を逸脱していると評価され不法行為となる可能性が高いです。

このような場合、企業がとるべき措置は、引き抜き行為をやめるよう仮処分を早急に行うことや、引き抜き行為の当事者役員と競合会社に損害賠償請求を早急に提訴することなどです。

情報が人材が重要な価値を持ち時代に、従業員に引抜行為や機密情報の持ち出しは益々会社に与える損害が多きくなるため、企業は防止措置を講じるための仕組み(就業規則、誓約書など)の作成を弁護士などに相談しておくのが良いでしょう。

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