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孤独死|連帯保証人の責任の範囲

不動産不動産問題

最近、高齢者の孤独死問題がとりあげられる機会が増えています。

孤独死に至る経緯や理由は、各自、様々でしょうが、孤独死になった場合にその連帯保証人はどこまで責任を負うことになるでしょうか。

まず、民法が2020年4月1日より改正されたため、その前後により連帯保証人の責任は大きく変わります。

2020年4月1日前の賃貸借契約の連帯保証人の責任は原則として賃借人の責任全部を負担することになりますが、2020年4月1日以降の賃貸借契約の連帯保証人は、極度額(分かりやすく言うと負担上限額)を設定していない場合は、連帯保証契約自体が無効となるため、設定された上限額が負担額上限となります。

この負担額に法律上特に定めはありませんが、実務的には家賃の半年分など合理的な範囲の上限が設定されている例が多いです。

この責任上限額を踏まえて、孤独死の場合、どのような損害が発生するかですが、考えられるのは、明け渡しまでの滞納家賃と原状回復費用です。

問題となるのは、孤独死をした場合に、次の賃借人に貸しづらくなるため、賃貸する際の逸失利益(本来より貸す家賃が下がった、借主が見つからないなどによる家賃損害)です。

裁判例では、自殺の場合は、物件が築年数、自殺態様、報道の有無などの諸事情を考慮し、半年程度の家賃損害を認める事例が多いと思います。事案が個別のため、3か月と認定したり、2年と認定し適宜、減収額を低減させるなど合理的な損害算定がなされています。

上記のような家賃減収についての責任を負わなければいけないのは、債務不履行又は不法行為に基づく損害を賃貸人に与えたからです。

自殺の場合は、故意に事故物件とさせたもので、家主に損害を故意に与えたと評価できます。

孤独死の場合は故意ではないこと、社会通念上亡くなるに際し余程の事情がない限り、過失による孤独死の責任を問われることはないと考えられます。

従って、孤独死の場合は、連帯保証人は賃貸人の負う逸失利益の損害を負担しなくてよいと考えてよいです。

但し、家主が法律論に詳しくない場合は、連帯保証人に厳しい責任追及や賠償請求がなされることがあります。

そのような場合は、弁護士などの専門家に相談して下さい。

当事務所でも、家主や賃借人の連帯保証人などからこの主の事案の相談を大く受けておりますので、お困りの際はお気軽にご相談下さい。

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みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。

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