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「単独親権」は合憲か?

親権離婚

夫婦が離婚した場合には、日本では、両親のいずれが、子(主に未成年者)の親権者と定められます。

最近は、離婚後も父母の両方が親権を持つ「共同親権」制度の導入が日本でも検討されていますが、現時点ではまだ法案化されていません。

親権とは、子の財産を管理する権利、子の身上監護を行う権利の2つに大別され、子と一緒に住むなどは、子の身上監護権に基づく親権者の権利となり、子の価値観の形成、子の進路の決め方なども子の身上監護権に基づくものです。

そのため、日本では離婚をすると、夫婦のいずれか一方のみしか、子の育て方に直接、関与することが出来なくなり、本来的に子の親であることから発生する親権が、離婚により、どちらが一方のみしか親権者となれないのは、憲法の定める「法の下の平等」や「幸福追求権」に反するのではないかという根拠で、現在の単独親権の制度を違憲とし、国に損害賠償を求める事案が増加しています。

親子の交流を通じて子や親の人格の形成をなすという人格的利益の観点からは、「親権を持たないとしても親と子であることに変わりはなく、そうした人格的利益は失われない」ため、民法の定める単独親権制度は父母関係が良好でない場合も踏まえた合理的なものであり、憲法に違反しないなどの判断がなされています。

面会交流などを通じて、子の育成に参加できるなどの制度も踏まえると、国会の裁量の範囲内であり、単独親権制度は合憲であるなどの理由付けがなされることが多いです。

しかし、実際に離婚をした場合、子と親がそれぞれの人格を形成するほど十分に関与できるかという点では、「関与できない。」という方が、より現実に沿った評価だと思われます。

また、両親のそれぞれが異なる考え方を有していればいるほど、面会交渉は実現しにくいという実態が存在します。

離婚に際しては、親権者はいずれか一方のみにしか見認められませんが、現実の裁判では、別居後に実際に養育監護をしている親から、養育監護を現実にしていない親の方へ親権を移動しなければならないほどの大きな不都合があるかが黙示の大きな判断基準となっており、子を連れていき養育監護をした者の方が親権を取得やすいという現実の情謡があり、家庭裁判所の調査官の調査では、父母のいずれに親権を委ねるのが子の福祉に沿うかという目的から、細やかな判断をするための調査の手法や期間に限定があり、困難ではないかと考えます。

多様性を認める社会、子に係る権利、子の将来的な多様性など、子の受ける利益は、共同親権制度の方が大きく受けられるメリットがあり、既に海外で採用されている共同親権の制度化での不都合の解消方法などを参考に、日本でも共同親権を法的に導入しても良い時期ではないかと思います。

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