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医師の自殺と労災認定|医師の業務はどこまでか?

労働問題

従業員が長期間勤務で自殺した場合、過労死ライン(現行の厚生労働省の過労死ラインは1か月の残業が80時間)を超えていた場合、労災認定がされる可能性があります。

残業が多い職種としては、トラックドライバーや教師などが新聞などの報道で、目にしやすいですが、病院の医師も長時間労働の多い、職種と言えます。

例えば、ある報道で、勤務している医師(当時26)が2022年5月に、自宅で自殺しているのが発見された事例があります。

2019年から研修医として勤務し、2022年4月から消化器内科で診療おこなっていた医師の死亡する1ヶ月前の時間外労働は207時間、直前3ヶ月平均でも165時間となっていたとのことです。

これに対し、病院側は、医師の稼働時間には、「自己研鑽の時間」も含まれており、「医師の自己研鑽」の時間は、労働時間に含まれないとの反論がなされました。

「医師の自己研鑽」とは、新治療法や新薬についての勉強、論文執筆、研修会への参加などが、その例となります。

なお、医学の発展は極めて速く、1年か2年、医師を休業した場合、現役医師に追いつくための努力は非常に大変だと言われています。

医師の場合は、上記のような特殊性があるため、厚生労働省で、医師の労働時間に関するガイドラインとして「医師の研鑽の類型と労働時間の基本的な考え方(案)」が、作成されています。

同ガイドラインは、新治療法や新薬についての勉強は診療の準備行為や、後処理として行う場合は労働時間に該当し、自由意思に基づいて業務上必要がなく、上司の指示なく行う場合は労働時間に該当しないとされています。

また、自ら行う手術や処置等についての予習や振り返りも労働時間ではないとされています。

学会や院内勉強会への参加も同様に自由意思に基づき業務上必要ない行為を所定時間外に上司の指示なく行う場合は労働時間に該当しないとされています。

その他、臨床研究に関する診療データの整理、症例報告の作成、論文執筆、大学院の受験勉強についても同様とされます。

但し、病院内では、直接の上司の指示がなくても、長年の慣習や無言の圧力により、業務を強いられている場合が往々にして見られるため、上記のガイドライン案は、考え方の目安になるものの、自由意志に基づくものか、上司の指示があるか否かは、病院内の実質を踏まえて判断されるべきです。

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