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無期転換訴訟|敗訴

再雇用労働問題

報道によると、東海大学から雇い止めを通告された非常勤講師ら8人が、無期雇用に転換できる権利があるとして地位確認を求めていた裁判で、東京地裁は原告の請求を棄却する判決を言い渡しました。

非常勤講師は、有期の契約社員となるため、有期労働契約が通算5年を超えて反復更新された場合、労働者の申し込みにより、使用者は無期労働契約の締結を承諾したものとみなすことが可能です(労働契約法第18条)。

原告は、この労働契約法第18条に基づいて、通算5年の勤務をしたとして、無期雇用への転換を主張していました。

他方で、労働契約法第18条にいては、「一定の高度専門的知識・技能を有する労働者」については、通算契約期間が5年を超えても無期転換ルールの適用を受けない特例が設けられています(労働契約法第18条第2項・労働契約法施行規則第6条)。

特例の内容は「大学の教員等に関する法律(任期法)」や、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(イノベ法)」であり、無期転換には10年が必要です。

特例の対象者としては、大学教授、研究者、医師、弁護士、公認会計士、ITエンジニア(高度なプログラミングやAI技術に関する者)などがあります。

裁判では、任期法には非常勤講師を一律に適用対象にする規定はないため、非常勤講師に任期法が適用されるどうかが大きな争点となりましたが、任期法の対象となるのは「教育研究組織の職」にある人で、具体的には仕事の内容が「先端的、学際的又は総合的な教育研究であること」などが例示されている。

非常勤講師に任期法に定めがないため、非常勤講師が「教育研究組織の職」に該当するか否かが大きな争点となります。

東京地裁は、原告ら「非常勤講師」に任期法が適用されると判断し、原告らの請求を棄却しました。

任期法の背景は、任期制の導入で多様な研究者が活躍しやすくなる、若手研究者が活躍する機会を増やす、国際競争力の強化などが挙げられ、研究者が否かは、その労働内容や給与形態などについて総合的に考慮し、判断されるべきかと思われます。

この点、非常勤講師である原告は、研究の仕事を大学から命じられたことはなく、研究室もなく、研究費も支給されていないとの労働状況下では、任期法の要件を実質満たさないものではないかと思慮されます。

東京地裁判決ではこれらの事情を踏まえての判決内容とはなっていません。

最高裁では、2024年10月に、大学の専任教員である講師が無期雇用への転換を求めた裁判で、大阪阪高裁判決は、「大学が主張する任期法の適用を認めず、5年での無期転換を認めました」が、高裁判決を破棄して、任期法の適用を認める判断を示した。審理は大阪高裁に差し戻されている。

無期雇用転換による雇用の安定性と、特例による人材の流動による研究などの活性化の両者については十分に常勤講師の稼働内容、設備環境、研究費、大学からの指示内容などを総合的に考慮し判断がなされるべきで、東京地裁の判決は否定されるべきではないかと思慮されます。

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