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犯罪の故意はどうやって証明する?

刑事事件

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【刑事事件コラム】です。

原則として、犯罪と呼ばれるものは、「故意に」(わざと)行った場合に成立します。

例外は、不注意で行ってしまった行為が犯罪行為となると法律で規定されている場合です。
これを「過失犯」といいます。例えば不注意で自動車事故を起こし、人にけがを負わせてしまった場合などが該当します。

今回はこの「故意(構成要件的故意)」についてお話し致します。
なお、この「故意」の議論は、様々な学説などもある分野のため、以下ではごく簡単に説明するに留めますのでご了承下さい。

例として、犯人が他人をナイフでわざと傷つけ怪我を負わせた場合、「傷害罪」が成立します。
すなわち、犯人が、ナイフで他人を切り付け怪我を負わせることを分かっていながら(認識)、そうなることを認めて許すあるいはそうなっても構わない(認容)と思って他人を傷つけた結果、他人が怪我をしてしまったという場合に成立する罪です。

ここで、この「認識」と「認容」がある状態を「故意」といいます。
例えば、他人をナイフで切り付け怪我を負わせることを「認識」していたとしても、それを「認容」していなかった場合(怪我を負わせてやる、負わせても良いとまでは思っていない場合)には、故意は存在しないことになります。
故意が存在しないと、傷害罪は成立しません。

難しい話ですが、この故意についても、刑事裁判において、被告人に故意があったことを検察官が証明しなければなりません。
検察官が故意を証明できなければ、やはり被告人に傷害罪は成立しないことになってしまいます。

もっとも上に述べたように、故意というのは犯人の主観(事件の時点で頭の中で考えていたこと)です。
犯人の頭の中でどのように思っていたなどということは通常分かりません(犯人が自白している場合は別ですが、自白が信用できるかも検討しなければなりません)。
そこで、どうするかというと、様々な客観的な事実と証拠から、犯人が犯行を行った際に考えていたであろうこと合理的に推測し示すということをします。

具体的に、例えば今度は殺人罪の故意について考えます。
殺人罪の故意は、人を殺すということを認識し、その結果人が死んでしまっても構わないと思うということです。
犯人に犯行当時上のような気持ちがあったことをどのように裁判所に示せばよいでしょうか。

これは、客観的な事実、例えば犯行に使われた凶器の種類、形状、どのような犯行を行ったか(犯行の態様、被害者の身体のどの部分を攻撃したか、何回攻撃したか等)などから証明をしていきます。
例えば、犯行に使われたのが刃渡り20センチメートルもあるナイフで、被害者の内臓を何度も刺していたという命の危険性の極めて高い行為を犯人が行なった場合には、被害者が死んでしまっても構わないと思っていたと十中八九いえ、殺人罪の故意が認められるでしょう。

これに対して、凶器が刃渡り1cmのカッターナイフで、被害者の右腕を1回切り付けたという犯行の態様だった場合はどうでしょうか。
この場合でも他の事情によっては殺意が認定できることもあるかもしれませんが、通常はこの事情だけだと、傷をつけてやろうとか脅かしてやろうとか思っていたことは言えても、殺そうとまで思っていたと証明することは難しいかもしれません。

このように、「故意」というのは、犯人の主観で目に見えないものなので、上のような客観的な事実、証拠を積み上げて行くしか無い場合もあります。

以上、今回は、犯罪の故意についてお話し致しました。

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