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求人広告等から労働条件を変更する場合の明示義務

労働問題

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【労働コラム】です。

本年3月31日に、労働関係法令のうち、雇用保険法や職業安定法などについていくつかの改正法が成立しました。

今回は、上記の改正が行われた中から、平成30年1月1日から施行される予定の、労働条件の明示義務に関する改正点についてご説明致します。

現行の法令では、労働契約の締結に至るまでの労働条件の通知について、以下の制度が定められています。

(1)労働者の募集(求人広告やハローワーク利用など)時に、業務内容、契約期間、就業場所(勤務地)、労働時間・休日、賃金(給与等)、社会保険・労働保険の適用などの点を明示する義務(職業安定法第5条の3第1項)

(2)労働者との間の労働契約締結時に、業務内容、契約期間、就業場所(勤務地)、労働時間・休日、賃金(給与等)などの点を明示する義務(労働基準法第15条1項、同規則第5条)

今回の改正では、上記(1)において労働者に明示していた労働条件と上記(2)の段階での労働条件が異なる場合(変更する場合)には、労働契約締結の前に、労働者に対し、新たに、労働条件を明示する義務が課されることになります。
例えば、以下の①から④のような場合には、変更後の内容を労働者に明示する必要があります。

①当初の労働条件と異なる内容の労働条件を提示する場合(例:当初基本給30万円/月 と求人票に記載していたものを、基本給28万円/月に変更する場合)

②当初の労働条件の範囲内で特定された労働条件を提示する場合(例:当初基本給25万円~30万円/月と記載していたものを、基本給28万円/月と定める場合)

③当初の労働条件で明示していた労働条件を削除する場合(例:当初基本給25万円/月、営業手当3万円/月と記載していたものを、基本給25万円/月のみに変更する場合)

④当初の労働条件で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合(例:当初基本給25万円/月と記載していたものを、基本給25万円/月、営業手当3万円/月に変更する場合)

上記のとおり、改正法が施行されるのは平成30年1月1日からですが、労働者を雇う側の企業は、この改正に十分注意が必要です。

また、労働者の立場からすると、これまで求人広告や求人票に記載された労働条件と実際の労働契約締結時の労働条件(労働条件通知書に記載してある内容)とが異なっていた、というようなケースについて、労働契約の締結前に上記の変更を知ることができ、これにより変更後の内容を認識した上で、労働契約を締結するか否か検討することが可能と思われます。

以上、今回は職業安定法の改正点のうち、労働条件の明示義務に関する改正部分についてお話致しました。

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