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企業の対応が必要になる?残業時間の上限に関する改正案

労働問題

みずほ綜合法律事務所の【労働問題・労務管理講座】第5回です。

先日、安倍晋三首相が、長時間労働の是正に向け時間外労働時間の現状について、法改正も念頭に対策を検討することを表明したというニュースがありました。

時間外労働に上限を設け、違反した企業には罰則を科す旨の規定も設けるという内容です。

現在、時間外労働(残業)については、時間外労働・休日労働に関する労使協定(いわゆる「36協定」)を締結すれば、原則として1か月45時間までの残業が可能となっています(労働基準法36条)。

また、例外的に、36協定に「特別条項」と呼ばれる例外条項を設ければ、一定の条件(一時的・突発的な措置であることや、残業の全体として一年の半分を超えないことが見込まれること等)はあるものの、事実上、残業を上限なく命じられるような規定となっていました。

これは、決算期やボーナス商戦、納期のひっ迫など、臨時に残業が必要となる仕事を想定して設けられた例外規定ですが、これが事実上、残業時間の青天井と言われ問題となる事もありました。

今回検討されることとなる改正案では、おそらくこの「特別条項」についても一定の上限を設定することが検討されるのではないかと思われますが、国が定める過労死ライン(労働災害の認定において労働と過労死の因果関係判定に用いられる基準のこと)である、月80時間あたりが基準となってくるのではないかと推測されます。

月に20日間、出勤したとすると、1日4時間以上の残業で、80時間となります(4時間/1日×20日=80時間)。

この残業時間が、過労死の6か月前から2か月前までの間に認められると、過労死と労働の因果関係が強いと推定されます。

また過労死の発症1か月前は、月100時間の時間外残業が認められる場合、過労死と労働との因果関係が強いと推定されます。

これはあくまで推定に過ぎませんが、企業の方は残業時間の目安を把握しておくのは有益と思われます。

今後、労働基準監督署の取り締まりも強化されるという話があり、違反した企業に罰則を科すことも検討されているため、仮にこれが実現されれば、より一層取り締まりが強化されることになるでしょう。

企業の方は、この機会に一度、従業員の残業の実態や、管理などについて今一度見直してみては如何でしょうか。

労働問題についてはこちらもご覧ください。

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