トップページ > 離婚について > 離婚の条件 > 婚姻費用分担義務
「婚姻費用」とは、夫婦が普通の社会生活をするために必要な一切の生計費のことを言います。
例えば、衣食住の費用、交際費、娯楽費、医療費、子供の養育費、教育費などが婚姻費用に含まれます。
別居中であっても、結婚すると夫婦は互いに婚姻の費用を負担しなければならない法律上の義務を生じますので、法律的に婚姻関係が続いている限り婚姻費用を分担する義務は免れません。
離婚を考えている夫婦間では多くの場合に別居に至っているため、離婚の手続を進める際には婚姻費用分担もあわせて検討する必要があります。
特に、専業主婦の方が離婚をされる際には当面の生活費の確保に不安を感じる方も多いと思われ、婚姻費用分担請求が重要となります。
婚姻費用の請求をいつから行うことができるかという点については、請求時(調停申立時)以降とされるのが一般的運用です。
つまり、別居後ある程度の期間が経ってから婚姻費用の請求をする場合は、その請求を行う時点以降の分のみの請求となってしまい、請求前の別居期間の婚姻費用の請求はできないこととなります。
そのため、別居を開始した場合は離婚するかどうか決まっていない段階であっても速やかに婚姻費用の請求を行っておく必要があります。
婚姻費用の金額については、父母それぞれの収入金額をもとに子供の年齢と人数によって場合分けされた「算定表」にしたがって決定されることが通常です。
もっとも、事案ごとの事情を考慮して「算定表」とは異なる金額が認められることもあります。
例えば、自宅に残った妻が家を出た夫へ婚姻費用を請求し、夫が住宅ローンの支払い続けている場合には、夫の住宅ローン支払金額を考慮して「算定表」よりも低い金額となる場合もあります。
詳細は、裁判所のホームページで公開されている下記の算定表(令和元年12月の改訂版)で確認することが可能です。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
相手方の配偶者が、不貞行為(浮気)をし、一方的に別居をした場合に、相手方に対し婚姻費用を支払う義務はあるか?
この点について、婚姻費用の額は、養育費と異なり、相手方配偶者と子の生活費の合計であるため、相手方配偶者の分については減額の可能性があります。
家事審判例では、不貞行為をしたものが一方的に別居した事案で、婚姻費用の中で相手方配偶者の生活費にかかる部分について、減額をした事例があります。
このように、婚姻費用分担義務が生じた原因が、相手方の不貞行為(浮気)などによる一方的な責任と評価される場合には、標準婚姻費用分担額を減額できる可能性はあります。
住宅を購入して、ローンを支払い続けているなかで、その住居に相手方配偶者が住んでいる場合に、住宅ローンを支払っている側は婚姻費用を標準額より減額できないかという議論があります。
婚姻費用は、衣食住の費用、交際費、娯楽費、医療費、子供の養育費、教育費の積み重ねであるため、相手方配偶者の住居費用を住宅ローンを支払っている者が負担していると評価される場合は、標準的な婚姻費用額より減額される可能性があります。
この点について家事審判例では、減額の方法として、①標準婚姻費用中に含まれる家賃分を減額する方向での調整と②住宅ローン支払い額と年数などを考慮し、調整をするものがあります。
最も、家事審判例は、諸般の事情を総合考慮しとしているため、明確な基準は不明ですが、住宅ローンを支払っている住居に相手方が居住しており、その住宅ローンを貴方が負担している場合には、それを理由に標準的な婚姻費用分担額より、減額を求めることは可能です。
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