大学の入学前に支払った入学金、授業料等の返還に関するトラブルについて、現在では、この件についての裁判の集積があり、「授業料」については、基本的に返還が認められています。授業料は、大学に入って現実に授業を受けることに対する対価であるので、実際に授業を受けていないのであれば返還すべき、というのがその理由です。ただし、例外があり、例えば、専願入試など入学することを確約することができることが出願資格とされている推薦入学試験(これに類する入学試験を含む。)に合格して当該大学と在学契約を締結した学生(すなわち入学手続きを完了した学生)については、特段の事情が無い限り授業料の返還は受けられません。詳しくは弁護士にお尋ねください。
これに対して、「入学金」は、大学に入学することのできる権利(地位)を取得するための対価として支払うもので、入学金を納めることで、この入学できる権利(地位)は取得できたことになるので、基本的には、返還を求めることはできない、とされています。
このように、大学に予め納める費用についても、返金が可能なものと不可能なものとがありますので、この点には注意が必要です。
この場合も、受講料は、取り戻すことができる可能性が高いです。消費者契約法10条により上記の契約書の返還しないという文言が無効となる、などと考えられるためです。
但し、上述した授業料と同じように例外がある点にはご注意ください。
一方で、入学金については、受講枠を確保することに対する対価という意味があり、既に受講枠の確保はなされていることから、不相当に高額ではない限り返金は認められないと考えられますので、この点は注意が必要です。
この場合、通常価格が存在しないという重要事項を告知していなかったことになり、原則として、契約を取り消して、まだ施術を受けていない契約の残りの期間の代金に相当する金額を返金してもらうことができます(消費者契約法4条1項1号)。また、既に施術を受けてしまった分についても、その施術の内容に比べて代金が不当に高額であったと認められる場合には、その不当に高額となっている部分(適正価額との差)についても返金が認められる可能性があります。
その他、実際に返金してもらえる金額などに違いが出てきますが、クーリング・オフや特定商取引法による中途解約などの方法も考えられます。
この場合、上述のエステでのトラブルと同じような理由で契約を取り消して、返金を求めることができます(消費者契約法4条1項1号)。
また、クレジット契約についても、上記の契約を取消したことを理由に、クレジット残代金の支払いを拒むことができます(割賦販売法30条の4)。
この場合は、一定の条件はありますが、追加料金分の返金を受けられる可能性があります。もっとも、旅行自体には参加している以上、旅行代金の全額の返還は難しく、支払った旅行代金と、実際に旅行会社から受けた役務(サービス)の客観的価値との差額の返還を受けられるのに留まるでしょう。
なお、「20階以上の部屋を用意する」ということが旅行の契約書にも記載されるなどして契約の内容となっていたか否かで、返還を求められる金額に差が出てくることにもなりますが、これ以上は複雑な説明となるためここでは割愛します。詳しくは、弁護士にご相談下さい。
会員契約を取り消すことが可能です。
この場合、セールスマンは、実際には2年後にオープンする予定のゴルフ場を1年後オープンと事実と異なる説明をしたということになりますが、ゴルフ場が1年後にオープンし、利用できるということを信じてリゾートクラブの会員契約をした、ということなので、事実と異なることを告げた結果結ばれた契約ということで、契約自体を取り消すことができます(消費者契約法4条1項1号)。
もっとも、ゴルフ場には全く興味がなく、契約の際に、リゾートクラブの他の点(例えばホテルやテニス場等の施設)に魅力を感じて、それを理由として会員契約をしていた場合には、上述のとおりゴルフ場のオープン時期が当初の説明と違ったことはその人にとっては重要な理由ではないということで、そのことを理由としては契約を取り消すことができないと判断される可能性があることに注意が必要です。
契約書に上記のようなリース会社が責任を免れる文言がある場合、このような免責の文言は一般的に有効とも言われていますので、請求が難しい場合もあると思います。もっとも、リース会社とパソコンの販売業者とが提携関係にあり、実際上は一体とみられるような場合には、そのことを主張して、リース会社に対しても修理期間中のリース料の支払いを拒むことができる可能性があります。
この場合、ホームページサイト上に、特別宿泊プランの場合にはキャンセル料がかかる、ということが明記されていなければ、特別宿泊プランのキャンセル料も支払う必要はありません。
一方で、サイト上のある部分に、「特別宿泊プランの場合には宿泊料と同額のキャンセル料がかかる」、ということが書かれていた場合には、少し複雑になります。この場合、「特別宿泊プランでも通常宿泊プランと同じように、宿泊日の1週間前までにキャンセルすれば、キャンセル料がかからないと思い込んでいた」ということを理由に、キャンセル料の支払いを拒むことが考えられます。
もっとも、サイト上の分かりやすい場所に、「特別宿泊プランの場合には宿泊料と同額のキャンセル料がかかる」ということが書かれていた場合には、予約した人の不注意が著しい、ということで、キャンセル料の支払いを拒めなくなってしまうという可能性もあります。
この辺りの判断は事案によって異なるところですので、このようなケースに遭われた方は、弁護士へのご相談をお勧めします。
結論としては、ケースによって異なりますが、キャンセルを早い時期に行っていた場合には、この予約金を全額返金してもらえる可能性があります。
解約金は、結婚式をキャンセルした場合に、結婚式場側に通常発生する損害に充てるためのお金と評価されますが、消費者契約法という法律で、キャンセルした場合に結婚式場側に生じる「平均的な損害の額」を上回る部分の解約金については、約束が無効である、と定められています(消費者契約法9条1号)。つまり、結婚式場側がキャンセルによって発生してしまう損失分については支払う必要がありますが、それ以外の部分については返金が認められるということです。
今回のケースでも、式の1年2か月前に予約をし、キャンセルしたのが式の1年前であった、ということですので、キャンセルによって式場側に発生する損失というのは通常ないと考えられるので、式場が解約金として予約金数十万円は返金しないと主張する規約は、効力が無いものとされます。したがって、この場合、予約金数十万円全額の返金をしてもらえることになるでしょう。
これは難しい問題ですが、葬儀会社が葬儀関係費用は全てを含めて250万円である、ということを説明していて、それを信じて契約を行った場合には、会社は増額の可能性を告げなかったということになりますので、葬儀の契約を取り消すことができます(消費者契約法4条1項1号)。
もっとも、既に葬儀自体は執り行われて、追加分の料理等のサービスも受けてしまっているので、葬儀会社には、葬儀自体にかかった費用や追加分の料理等のサービスについて「相当な費用」(通常の葬儀業者に支払うのと同じ費用)は支払う必要があります(当然ですが、無料にはならないということです)。 この「相当な費用」がいくらになるかというのが葬儀会社との争いになるケースが多く、この判断のためには、法律の専門知識や法的判断などが必要となってきます。
このようなトラブルに巻き込まれたら、まずは一度弁護士にご相談することをお勧めします。
みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社のお客様の法律相談を受け、
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