まず、タイムカードや出勤簿等を確認して、元従業員が主張している労働時間が正しいか、また、請求期間が正しいかを確認してください(退職時を基準として2年以上経過している分は消滅時効にかかる可能性があります)。その上で、早急に一弁護士に相談することをお勧めします。
労働基準法では、従業員の残業代は発生した時間をもとに計算して支払わなければならないとされています。したがって、このような規定があったとしても、実際の残業時間に応じた残業代を支払わなければなりません。
労働審判は、未払い残業代請求事件などの労働事件を審理し、両者の話を聞いて調停を試みます。調停が成立しない場合には、解決案である労働審判を出します。原則として3回以内の期日で審理を終結させるため、早期解決という特徴があります。また、労働審判は判決と同様、法的拘束力を有します。
まず、セクハラの事実の有無を調査することが必要です。セクハラをしたとされる従業員や関係者から聞き取りをします。セクハラをしたとされた従業員のみならず、会社も元従業員からの損害賠償請求義務を負う危険性もあります。早期に弁護士に相談することをお勧めします。
パワハラは一個人の問題ではなく、会社全体の問題です。まず、本人からの聞き取りや診断書を取得する等して病状を把握します。業務量の軽減や配置転換等により就業継続の可能性を検討し、継続困難であれば休職を認めます。また、パワハラの調査も行います。パワハラをしたとされる上司や周囲の従業員等から事情の聞き取りなどをします。調査の結果、パワハラがあったと判断されれば、当該上司に対し、再発防止のための指導・処分などをします。場合によっては配置転換も検討します。
従業員を解雇するには解雇の必要性と相当性が必要ですが、それが認められるには高いハードルがあります。そこで、まずは本人と話し合い、自発的な退職を求めるべきと思われます。それでも解決が難しいようであれば、解雇も含めて弁護士に相談することをお勧めします。
訴訟で、本人が納得して退職したという事実を主張・立証する必要があります。しかし、通常、このような証拠を残していない場合が多いです。そのため、訴訟では、元従業員本人を尋問するなどして立証することになります。もっとも、それらは非常に専門的な知識と経験が必要なため、まずは弁護士に相談することが良いでしょう。
会社の業績悪化に伴う人員の解雇、いわゆる整理解雇が認められるためには、①解雇の必要性、②配置転換・出向などの相当な経営努力がなされていること、③解雇される人の選定基準が合理的であること、④解雇手続きが適正に行われていることの4つの要件を満たす必要があります。整理解雇に追い込まれる事情は会社によって様々です。慎重な対応が求められることから、整理解雇を検討している会社は弁護士などのアドバイスを受けることをお勧めします。
パワハラ、セクハラ、メンタルヘルス(うつ病)、モラハラ、残業代、懲戒処分、解雇、個人情報や機密・秘密情報の漏えい、退職にあたり競業や社員引き抜き、などがあります。
従業員との間で話し合いが成立しない場合、労働審判や労働裁判が多いです。
雇用契約書、就業規則、誓約書、社内倫理規定などを備えておくと良いと思われます。
雇用契約に伴う損害について違約金の定めを設けることは禁止されています(労働基準法第16条)。
最高裁は労働者の同意に基づくと認められる合理的な理由が客観的に存在する場合、合意相殺は適法と判断しており、書面で貸付金を給料と相殺するなどの約定書がある場合は有効と考えています。
賞与の支払基準が明確に決まっていない場合、具体的な賞与請求権は発生しないと解されますが、従前の支払慣行などが基準となり具体的賞与請求権が発生する場合もあります。
身元保証契約は期間を定めない場合3年間の効力を有するとされ(身元保証法第1条)、最長の身元保証期間は5年です。
身元保証契約は更新することができますが、更新期間は5年を超えることができません(身元保証法第2条)
内定とは、合理的内容により解約できる労働契約と判例上解釈されています(最判昭54・7・20判例)。
内定取り消しは、客観的合理性があり、かつ、社会通念上相当といえる場合で、例えば、卒業できなかった、健康状態が悪化したなどの場合です。
試用期間とは、労働契約について本採用を拒否するという解約権が留保された契約と判例上解釈されています。
試用期間後の本採用拒否は、労働契約が既に開始されているため、著しく能力が低いなど合理的な事情が求められます。
残業代、賞与の有無、退職金の有無、懲戒の事由や種類、普通解雇の理由、休職期間や服務規律などが問題となります。
原則として就業規則の不利益変更は原則として許されませんが、変更する就業規則の規定が内容の合理性を有する場合は、就業規則の変更は認められます(大曲農業事件判決。)。
就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、変更する就業規則の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代替措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等のとの交渉経緯等の事情を鑑み判断されますが(第四銀行事件判決)、具体的事案の解釈はケースごとに異なるため、弁護士に相談することをお勧めします。
反復更新されている期間の定めのある従業員については、正規従業員と同じく、更新拒絶は正規従業員と同様に判断される判例の傾向は強いですが、個別的判断が必要であり、弁護士に相談することをお勧めします。
解雇とは使用者が労働契約を終了させることであり、普通解雇と懲戒解雇があります。
懲戒解雇は普通解雇と異なり、解雇予告手当が支払われず(労働基準法第20条)、通常は就業規則で退職金が支払をされません。
懲戒解雇が否定された場合でも、普通解雇の要件を満たしていれば、普通解雇として有効となる場合があります。
解雇が無効となった場合、従業員の地位を有するため、復職や未払い賃金を求める権利があり、会社に多大な経済的損害等が生じます。
従業員を普通解雇しようとする場合に少なくとも30日前に普通解雇する旨を予告するか、即日解雇する場合は30日分以上の平均賃金を支払をしなければなりません(労働基準法第20条)
普通解雇するには、1.雇用契約違反(債務不履行の存在)、2.就業規則に該当するか否か、3.普通解雇が社会的に相当性があるか、4.弁明を聞く機会を設けるなど適切な手続でなされているかの大きく4つのチェックポイントがあります。
解雇は、客観的に合理的な理由をかき、社会通念上、相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります(労働契約法第16条)。
横領の金額や事情が少額や悪質な事情が乏しい等の場合は懲戒解雇は避けた方が良いでしょうが、金額が大きい、あるいは手段や回数が悪質かつ頻回、ニュースや報道で会社に損害を与えた等の事情がある場合には懲戒解雇が有効と考えられます。もっとも、個別判断は弁護士に相談することをお勧めします。
セクハラにも程度があり、刑法犯罪レベル(強制わいせつ、強姦)、身体的接触行為や性的不愉快言動や食事に誘うレベル、「子供はまだか」とか「おばさん」等の不適切発言の各段階に分けられます。刑法犯罪レベルの場合には懲戒解雇は有効となりますが、その他の場合は初犯での懲戒解雇は難しく、降格や出勤停止、配転などの懲戒処分が妥当と考えられます。
パワハラにも程度があり、刑法レベルの暴行・傷害・脅迫と嫌がらせ目的の叱責、無視・悪口・嫌味などがあります。刑法レベルの場合懲戒解雇は妥当と考えられますが、その他のパワハラの場合は当事者の話を良く聞き、懲戒の程度や種類を慎重に判断すべきです。
能力不足や成績不良では懲戒解雇は困難で、会社が受ける損害あるいは受けた損害が大きい場合に普通解雇が考えられますが、是正の機会を与えることなど慎重な判断が必要であり、具体的には弁護士に相談することをお勧めします。
重大な経歴詐称、具体的には事前に告知されていれば、採用しないあるいは待遇が異なる等の最終学歴、犯罪歴、職歴等の詐称がある場合には懲戒解雇は有効となりますが、具体的判断は難しい場合が多いため弁護士に相談することをお勧めします。
業務命令も広範にありますが、職種変更や転勤等に対する業務命令違反には懲戒解雇の余地がありますが、その他の残業命令違反、資料作成等の日常の業務命令違反に対しては注意・指導をくり返し、改善の余地がない場合に普通解雇を検討するのが良いでしょう。もっとも、具体的判断は弁護士に相談することをお勧めします。
飲酒運転それ自体だけでは、懲戒理由にならないと考えられますが、輸送業などの業種で、人身事故等の被害が大きかったり、あるいは新聞報道で会社に多大な経済的損害を与えた等の場合には懲戒事由となりえます。
整理解雇が有効となる要件としては大きく1.整理解雇の必要性、2.整理解雇の回避努力義務、3.基準、選定の合理性、4.労使交渉の手続の合理性が大きな要件となります。
解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の濫用として解雇は無効となるため、休職措置をとるのが相当な場合、解雇は無効となる可能性があります。休職措置か解雇かの具体的判断は弁護士に相談することおをお勧めします。
退職の意思表示も、雇用契約の解除の意思表示であり、意思表示の原因に錯誤や脅迫などがあれば、詐欺取り消しや錯誤無効を主張できます。
自宅待機命令は、就業規則に定めがある場合、あるいは企業秩序の維持のための場合に出せますが、事実調査や被害者からの隔離のためという場合には有効と解されます。但し、就業規則に根拠のない場合、会社は自宅待機期間中の賃金について支払義務を認めた判例があります。
自宅待機命令は、就業規則に定めがある場合、あるいは企業秩序の維持のための場合に出せますが、精神疾患で自傷や他傷のおそれなど緊急避難的な場合には、有効と解されます。自宅待機期間中の給料支払義務は、個別事情を総合考慮し判断されるため、弁護士に相談することをお勧めします。
一定の役職を解く降格は、就業規則に根拠がなくても、人事権の行使として裁量を逸脱しない限り有効とされていますが、裁量の範囲については個別判断によるため、弁護士に相談することをお勧めします。
減俸処分は就業規則によるもの、あるいは人事権としてのものが考えられますが、就業規則による場合は合理性の逸脱の場合、人事権による場合は裁量の逸脱が認められる場合、それぞれ違法となります。もっとも、判断は個別ケースによるため、弁護士に相談することをお勧めします。
減給処分は、懲戒事案1回について1日の平均賃金の2分の1以下です。また減給は、一賃金支払期の10分の1を超えてはなりません(労働基準法第91条)。
通常の業務に復職できない場合でも、会社の規模、他の業務への復職の可能性、業務軽減措置、会社の負担等を考えて会社業務に復職できない場合は、当然退職となります。
主治医ないし会社の産業医を参考に使用者が判断します。
従業員の労務提供の質や量が低下場合、雇用契約の不完全履行のため、それを理由とした就業規則が整備されている場合、休職を命じることができますが、対応する就業規則がない場合、労務提供の受領を会社が受けずに欠勤扱いとするなどが考えられます。
監督もしくは管理の地位にあるもの(管理監督者)は、残業代はつきません(労働基準法第41条)。
役職名ではなく、労働内容や労働時間に対し相当広範な裁量を持っていなければ管理監督者とは認められないのが判例の傾向です。
法定労働時間は、1日8時間以内、1週間で40時間内としています(労働基準法第32条)。
深夜残業代(午後10時から午前5時)や勤務時間外の給与は通常の1.25倍、休日残業代は、1.35倍、深夜と時間外労働は1.5倍、休日と時間外労働は1.6倍、休日と深夜労働は1.6倍の計算方法となります。
就業規則ないし個別文書で、退職後の競業避止義務を負う内容を記載しておくことが考えられます。この場合、競業をしないこととする地域や期間などに合理性が認められる場合には、法的にも有効と判断されますが、その内容や程度は個別判断となります。
非公知の事実であり、企業の正当な利益が侵害されるような「秘密」は、特別な規定がなくても当然に従業員は負います。
雇用契約の解除(解雇)や、債務不履行や不法行為による損害賠償などの責任を追及できます。
就業規則ないし個別文書で、守秘義務を負う内容を定めておくことが考えられます。退職後守秘義務を負う期間に合理性が認められる場合には有効と解されますが、合理的と判断される内容や程度は個別判断となります。
従業員の健康情報も個人情報保護法で保護されます。従業員の健康情報については、医療機関や健康保険組合等から取得する場合、情報取得目的を従業員に明らかにして従業員の承諾を得ることや従業員本人から取得することが望ましいです。また傷病名や検査値などの具体的データは、産業医等に管理されるのが望ましいです。
人事考課情報も個人情報保護法上の個人情報に該当しますが、「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」には非開示とすることができ、開示の要否については見解が分かれているため、具体的判断は弁護士に相談するのが望ましいです。
労働審判とは、労働事件の迅速な処理を目的に、裁判と異なり、3回以内の期日で主張、証拠調べを終了させ(労働審判法第15条)、和解ないし労働審判を行う手続きです。
通常の裁判と異なり、主張及び証拠調べが3回以内で終了するため、手続開始前に争点を把握し、それに沿った主張・反論・証拠を事前に用意しておかないと不利になります。
労働審判の告知を受けた日から2週間以内に裁判所に異議の申し立てをすれば、労働審判申立の日に裁判手続きが係属した取扱いとなり、労働事件の裁判手続きに移行します(労働審判『法第21条、22条)
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