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阪神大震災のアスベスト|肺がんで労災初認定

B型肝炎

報道によると、阪神・淡路大震災(以下、阪神大震災)において発生したアスベスト(石綿)の飛散が原因で肺がんを発症したとする男性の労災申請について、神戸東労働基準監督署が2023年度に労災認定を行っていたことが明らかになりました。

報道によると、この男性は業務上、直接的に石綿を扱う仕事には従事していませんでした。しかし、震災発生後の約3年間にわたり、神戸市内の自宅から市中心部にある勤務先へオートバイで通勤していたほか、顧客の被災建物の状況を確認する業務に携わっていました。震災による建物の倒壊や解体作業の影響で、大気中に飛散した石綿を継続的に吸引していた可能性が指摘されています。

肺がんは、石綿を吸い込んでから発症するまでに長い潜伏期間を要する病気であり、多くの場合30~40年後に発症します。今回のケースでは、1995年に発生した阪神大震災から約30年が経過しており、潜伏期間の長さからも発症時期が符合することが確認されました。そのため、労災との因果関係が認められたものと考えられます。

阪神大震災に関連する肺がんの労災認定は、今回が初めてのケースとなります。しかしながら、石綿関連疾患は長期間の潜伏を経て発症することが多いため、今後、同様のケースが増加する可能性があると専門家は指摘しています。特に、震災当時、神戸市や周辺地域で被災地の復旧作業や建物解体作業に関わった労働者や住民にとっては、今後の健康状態に注意を払う必要があります。

当時、日本では石綿の使用が全面的に禁止されておらず、多くの建築物において耐火材や防音材として石綿が使用されていました。震災による建物の崩壊によって大量の石綿が空気中に飛散し、さらに復旧工事や解体作業が十分な対策を講じないまま進められたことで、飛散範囲の拡大が問題視されていました。石綿は目に見えない微細な繊維状の物質であり、一度吸入すると肺に蓄積し、数十年後に肺がんや中皮腫などの重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。

石綿による肺がんの労災認定には、喫煙歴や他の健康要因との関連性も考慮されるため、一定量の石綿を吸引した医学的証拠が必要とされています。具体的には、胸部X線やCTスキャンによる石綿肺の所見、あるいは石綿繊維の医学的証拠が求められます。

今回の労災認定を受け、震災当時、神戸市内や周辺地域で業務に従事していた方々は、自身の健康状態を定期的に確認し、肺がんなどの疾患が見つかった場合には、労災申請を検討することが推奨されます。特に、長期間にわたり被災地での作業や生活を続けていた方々は、健康診断を受けるなどして早期発見に努めることが重要です。

政府や自治体は、今後の同様のケースの増加を見越し、適切な健康管理支援策を講じる必要があります。また、震災に限らず、過去に石綿を取り扱う業務に携わった方々に向けた健康調査の実施や、医療機関との連携強化が求められます。さらに、石綿関連疾患の早期診断や治療の充実を図るための体制整備も、社会的な課題として取り組むべき重要な事項となります。

阪神大震災から約30年が経過した今、被災者の健康被害に対する認識を改め、適切な対応を講じることが求められています。

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