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被爆者と認められていない長崎の「被爆体験者」を巡る訴訟で、長崎地裁が原告のうち15人を被爆者と認定されましたが、一方で29人の訴えは退けられました。
長崎地裁判決は原告側に「高度の蓋然(がいぜん)性」が伴う立証責任があるとの前提を維持し、放射性降下物があったことを示す最重要資料として原告側が提出した米マンハッタン調査団の報告書は信頼性が低いなどとして大半の原告の主張を退けました。
長崎地裁判決は、被爆者を「黒い雨」が降った地域に限定し、他の地域で放射線の影響があった可能性について原告側に立証を求め、放射性降下物があったという原告側の陳述や調査報告も科学的、合理的裏付けがないと判断しました。
これに対し、広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」を国の援護区域外で浴びるなどした84人に対し、被爆者健康手帳の交付を命じた2021年7月の広島高裁判決は、高度の蓋然性の主張を緩和したため、原告側は勝訴をしました。
今回は一転して、原告側に、より高度な立証を求めたもので、このような戦争事案で高度の蓋然性を求めることが司法の在り方として良いか否かが本質的に検討されるべきものです。
戦後から相当な期間が経過していること、ハードルの高い証拠を提出するのは事案の性質からして困難なこと、被害は戦争という非常に特殊かつ重要な出来事に起因し、国側に大きな責任があることなどを踏まえると、高度の蓋然性の枠組みは、緩和修正されて適用される必要があったのではないかと考えます。
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