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精神科の身体拘束で死亡賠償判決|裁判官は現場を知らない?

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日本では身体の病気に比較し、精神に対する病気については抵抗感があり、余り精神病のことは知られていません。

精神病は、個々人で症状の出現内容の重篤度が全く異なり、身体病と異なる点は妄想、幻覚などの症状で自傷、他傷の危険がある点です。

精神病の患者に対しては精神保健福祉法に基づく身体拘束がされることが一定の条件があれば認められています。

最高裁で、精神科病院に入院中の男性患者が身体拘束により、エコノミー症候群を発症し死亡した事案で、遺族が病院に損害賠償を求めた事案で、最高裁は病院に約3500万円の支払いを認めました。

この最高裁判決に対し公益社団法人日本精神科病院協会は、患者の安全を確保しつつ、適切な治療のために必要な身体拘束の現場実情を裁判官は知らない、裁判官は精神科病院の現場を一度も見たことがあるのか?などの声明を発表しました。

判決は、看護師8人を揃えた状態下での精神保健指定医の身体拘束は医師の裁量内と評価できるか、同条件を満たしていない本件では裁量を逸脱したものとしており、患者を監視する体制が確保されているかを身体拘束の裁量の判断基準の要件としました。

この8人の看護師について、昼夜をとわず1人のために8人も看護師を常駐させることは出来ないというのが、精神病院側の痛切な現場意見として声明が出されるきっかけとなりました。

個人病院でもそもそもこのような人員基準を満たすこと不可能であり、最高裁判決によると自傷、他傷の危険のある患者に対する身体拘束が出来なくなります。

裁判は、現実の実態を見て判決を出すのかというと現場の実態は見ていませんが、現場の実態を理解したうえで判決を出していると考えて良いと思います。

裁判は、現場実務では現時点で改善が困難な実態があると理解していても、その現場実務を許容しない判決を出すことがありますが、今回の最高裁判決はまさに現場実務を許容しない判決と評価できるものだと考えられます。

現場実務を理解したうえで最高裁が判決を出す場合意図として考えらえれるのは、法律を徹底的に順守した結果導かれる帰結だった場合、個別には病院の過失と判断したが黙示的には医療現場実務を改善するよう政府に求める意図を含む場合、現場実務の方が誤りだと強くメッセージを発信したい場合などです。

この最高裁判決が、どのような意図で精神病や精神病院側の現場実務を許容しない判決をだしたのか明確には分かりませんが、判決分中にその点についてきちんと現場が理解できる内容で判決を記載しなかった点は誤りだったのではないかと考えます。

最高裁は、個々の事案の解決を目的としていますが同時に司法の統一的見解、立法に準じた役割を有しているため、国民が理解できる程度の立法意図に準じる判決意図を明確に示すべきです。

 

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