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母親7歳児殺害事件|施設入所監護措置却下は適切だったか?

親子関係親権離婚

親権者が子を適当に育てることができない場合、児童相談所は家庭裁判所に対し、施設入所措置監護措置の審判を申立て、児童を親元か離し、適切な施設で養育をすることが可能です。

報道などによると、生後5カ月で心肺停止となった次男について、神奈川県の児童相談所は、自動相談所で一時保護を行い、その約2年半後に帰宅したものの、その後、三男が死亡するという出来事があったことから、2017年4月に2度目の一時保護が行われた事案がありました。

この一時保護中の次男から、「お母さんに投げ飛ばされて口から血が出た」などと話しが出たことが経緯となり、児童相談所は「施設入所措置が適当」との方針となり、2018年2月、次男の入所を求めて横浜家裁に施設入所監護措置の審判の申立てを行いました。

しかし、横浜家裁は「保護者が故意に何かをしたという根拠はない」などとして、同年10月に申立てを却下しましたが、次男は自宅に戻った約9カ月後に死亡しました。

横浜家裁の判断は判断は適切だったのか、判断の仕組み自体に問題はないのかなど子の福祉の観点からこの事件は検証される必要があると考えられます。

施設入所監護措置の審判を、家庭裁判所が認めるには以下の2つの要件が必要となります。                                        (1)保護者が、子どもを虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく子どもの福祉を害する場合。                         (2)施設入所等の措置をとることが子どもの親権者等の意に反する場合、という2つの要件を満たす必要があります。

家庭裁判所は、申し立てを受けた場合は、子の親権者、子を現に監護する者などや子自身から話を聞きます。

この時点で、親権者らが施設入所に同意した場合は監護措置の審判がなされますが、親権者らが反対した場合には、監護措置審判の申立書に記載されている子の福祉を害する事情や、施設入所が必要と考える事情の有無を審査する手続きへ移行します。

事実関係の有無を巡って、親権者からの話、子の話、家庭裁判所調査官による調査結果など踏まえて、上記の2つの要件を満たす証拠の有無や程度から判断をすることになります。

明確に暴行や虐待、ネグレクトなどにより子の病院の受診記録がある場合や、子から具体的な陳述が得られる場合などは、家裁審判官の判断は比較的容易に行うことが可能です。

しかし、そのような裏付事情を当事者からの聞き取りや、家庭裁判所の調査官による調査でも発見できない場合、証拠なく、親権者の親権行使を大きく妨げる施設入所監護措置決定を行うことは出来ません。

往々にして、暴行やネグレクトが疑われる子は、親が病院へ子を連れて行かないため何も記録が残らない、子が虐待の事実を話させない、子の怪我などの理由について親が事故などより発生したなどの虚言を主張することがあります。家庭という密室内の出来事のため、この虚偽の主張を覆すことは簡単ではありません。

確信犯なような悪質な案件では、児童相談所や家庭裁判所の介入を踏まえ、証拠が残らないように動いているケースも少なくありません。

そのような場合には、家庭裁判所は証拠がない以上、施設入所監護措置決定を出すことができません。

本件での詳細な事実関係は不明ですが、おそらく家庭裁判所の審判官は、本件では記録から虐待などの子の福祉に反すると明確に評価できる証拠を認めることが出来ず、施設入所監護措置の審判に対し、却下の決定が出たのではないかと思われます。

子の心身の安全、特に命の安全が奪われる場合もあること、施設入所監護措置審判は犯罪を認定するものではないことなどを踏まえ、施設入所監護措置の認定要件を緩和する議論、児童相談所での一時保護の期間を延長する制度や延長要件の緩和の議論、親権者に対する代替措置として、面会や子の様子の報告の頻度や方法の多様化など、両者の視点からバランスのとれた制度設計の検討が必要ではないかと思われます。

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