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改正育児・介護休業法について

企業法務労働問題

改正育児・介護休業法の施行について

2023年5月に成立した改正育児・介護休業法の一部が、2024年4月1日から施行されます。本改正は、育児や介護と仕事の両立を支援するため、柔軟な働き方を促進し、企業の義務を拡大することを目的としています。特に、子どもの年齢に応じた働き方の選択肢が広がるほか、企業における育児休業取得状況の公表義務が拡充されます。本記事では、改正の主な内容とその影響について詳しく解説致します。

主な改正内容

1. 子の年齢に応じた柔軟な働き方の促進

(1) 子の看護休暇の対象拡大
これまで、子の看護休暇の対象は「小学校就学前の子ども」に限定されていましたが、今回の改正により「小学校3年生終了まで」に引き上げられました。これにより、幼児期だけでなく、小学校低学年の子どもを持つ保護者も、より柔軟に休暇を取得できるようになります。
さらに、取得理由についても拡充され、従来の病気やケガに加え、感染症による学級閉鎖、入学式・卒業式の参加などが新たに認められます。これにより、親が必要な場面で仕事を休みやすくなります。

(2) 残業免除の対象拡大
これまでは3歳未満の子を養育する労働者のみが残業免除の対象でしたが、改正により「小学校就学前の子どもを養育する労働者」まで拡大されました。これにより、より長い期間にわたり、ワークライフバランスを保ちやすくなります。

(3) 短時間勤務の代替措置にテレワークを追加
3歳未満の子を養育する労働者に対し、短時間勤務制度の代替措置としてテレワークを選択できるよう、事業者に努力義務が課されました。これにより、通勤負担を軽減しつつ育児との両立を図ることが可能になります。

2. 育児休業取得状況の公表義務の拡大

(1) 対象企業の拡大
これまで、育児休業取得状況の公表義務は「従業員1000人超」の企業に限定されていましたが、改正により「従業員300人超」の企業まで対象が拡大されました。これにより、中規模企業にも情報公開の責任が生じることになります。

(2) 公表内容の明確化
企業は「男性の育児休業等の取得率」または「育児休業等と育児目的休暇の取得率」のいずれかを公表する必要があります。これにより、企業ごとの育児休業の実態がより明確になり、育児に理解のある企業の評価が向上することが期待されます。

(3) 公表方法と期限
前年度の終了後3か月以内に、インターネットなどを利用して公表することが求められます。これにより、求職者や従業員が企業の取り組みを確認しやすくなり、育児休業の取得が推進される可能性が高まります。

企業や労働者への影響

本改正により、企業は従業員の育児をより支援する姿勢を求められることになります。特に、残業免除やテレワークの導入などは、企業の働き方改革を進める大きな要因となるでしょう。中小企業にとっては、新たな制度導入にあたり一定の負担が生じる可能性もありますが、従業員の定着率向上や職場環境の改善につながるメリットも大きいと考えられます。

労働者にとっては、仕事と育児を両立しやすくなる環境が整うことは大きな利点です。特に、小学校低学年の子どもを持つ家庭では、学級閉鎖や学校行事への参加など、育児に関わる機会が多いため、今回の改正は非常に実用的な変更と言えるでしょう。

まとめ

今回の改正育児・介護休業法では、以下のようなポイントが実現されます。

  • 子の看護休暇の対象年齢引き上げ(小学校3年生終了まで、取得理由の拡充)
  • 残業免除の対象拡大(小学校就学前の子を持つ親も対象に)
  • テレワークの選択肢追加(短時間勤務の代替措置として)
  • 育児休業取得状況の公表義務拡大(対象企業300人超、取得率の公表義務)

これにより、育児や介護と仕事の両立がしやすくなると同時に、企業においても育児支援の取り組みが一層求められることになります。

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