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容姿の侮辱投稿|東京高裁発信者情報開示請求認容

労働問題

報道によると「複数の匿名投稿者から侮辱を受けた女性が「LINEヤフー」を相手取り、発信者情報開示を求めた訴訟」が東京高裁ありました。

裁判所は、通信履歴を解析して、電話番号を割り出すことを認めた上で開示を命じていました。

発信者情報開示の手続きを見直してみます。

発信者情報開示は、一定の時間にアクセスしたログの情報から名誉棄損などに該当するものに対し、プロバイダーが情報を開示するものです。

一般的なSNSでは投稿者のアカウントに電話番号などが登録されていますが、しかし、このオープンチャットではアカウントに投稿者を特定する情報は登録されていいませんでした。

そこで原告はオープンチャットのアカウントと紐付けされているLINEアカウントの発信者情報開示請求を東京地裁に提起しました。

「LINEヤフー」がインターネット上で運営する「オープンチャット」に「酷い顔」などと女性の容姿を侮辱する内容の投稿が5件なされたとされます。

これに対しLINE側はオープンチャットとLINEアカウントは関連しておらず、投稿者を探知するには通信履歴を解析する必要があり、それは法的に許されていないと反論していたとされます。

なお、同法は現在法改正により「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)」と改名されています。

発信者情報開示請求はまず、裁判所を通さずにプロバイダ等に任意で求めることも可能です。ただし、これには強制力は無く、一般的にこの任意開示請求に応じることは少ないと言われています。

そこで裁判所を通じて行うこととなりますが、従来これには(1)発信者情報開示の仮処分申立て、(2)ログ保存の仮処分申立て、(3)プロバイダに対する発信者情報開示請求の訴えと3つの手続きが必要とされてきました。

これでは被害者側の負担が大きく、また十分な情報が得られず結局発信者を特定できないといった場合もあり得ると指摘されていました。そこで令和3年改正により新たに発信者情報開示命令事件に関する裁判手続という非訟事件が新設されました。

これにより3つの手続きが1つの手続きで行えるようになり、より短時間で負担も少なく開示請求ができるようになっています。

現在、発信者情報開示請求が認められるには、(1)権利侵害の明白性、(2)正当理由、(3)補充性の3つの要件を満たす必要があるとされます(5条)。

まず、インターネット上での投稿により、名誉権やプライバシー権などの権利の侵害が明白である必要があります。一般的に名誉毀損の場合は公益性や公共性など違法性を阻却する事由は被告側が立証しますが、発信者情報開示請求では請求者側が不存在を立証することとなります。次に、開示請求に正当な理由が必要です。

そして、令和3年改正により創設された「特定発信者情報開示請求」をする場合、つまりアカウント作成時の通信、アカウントへのログインの際の通信などに関する請求では、当該通信を辿らなければ特定できない場合(補充性)でなければならないとされています。

なかなか厳しい時間的制約のある中で、発信者情報の開示・削除処分をご自分で求めることは困難なため、弁護士へ依頼することをお勧めします。

当事務所は、発信者譲歩開示仮処分、削除仮処分に多くの経験と実績を有しお困りの際は当事務所へお気軽にご相談下さい

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