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報道で、佐賀県に勤務する男性職員2人が「能力不足」を理由として、地方公務員法に基づき「分限免職処分」とされたことが判明しました。
分限免職処分とは、公務員が職務を適切に遂行できない場合に、行政上の判断に基づいて免職(解雇)される処分のことです。懲戒処分とは異なり、職務上の義務違反や非違行為(不祥事)によるものではなく、主に能力不足や健康上の問題などが理由となります。
分限免職処分を受ける場合は、下記のような場合です(国家公務員法、地方公務員法)。 (1)心身の故障により職務の遂行が困難な場合 (2)病気や精神的な問題で業務遂行が困難な場合 (3)長期間の休職後、職務復帰が困難と判断された場合 (4)勤務成績が著しく不良な場合 ①業務遂行能力が著しく低く、適正な職務遂行が困難な場合、②指導・研修などを受けても改善されない場合 (5)官職の廃止または過員(定員超過)による場合 ①組織改編や業務縮小により職がなくなる場合、②配置転換が困難な場合 (6)その他、適任性を欠くと判断される場合
分限処分は、民間の解雇に相当するもので、民間でも能力不足を理由とした解雇は、間々、見受けられますが、解雇は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合」でない場合、当該解雇は無効とされます(労働契約法第16条)。
そのため、会社が労働者の能力不足を感じた場合、どのような配慮や手続きをしたうえで解雇をしなければならないでしょうか。
まず、労働者の能力については、客観的に評価されなければならないため、客観的評価基準により査定されなければいけません。
次に客観的評価基準より、職務能力が相当に低い場合は、その労働者に対し、職務能力向上のために指導改善の教育をすることが必要で、職種により異なるでしょうが、相当な教育期間が必要となります。
上記の指導改善の教育をした結果、再度、客観的評価基準に従い、職務遂行能力を査定しても、一般的な査定結果より相当に低い査定しか出ないことが必要となります。
その場合、他部署へ配置転換を行うことを検討し、他部署への配置転換が可能なら配置転換を行ったうえで同様の手順を踏み、それでも客観的査定基準で、職務能力の不足が著しいと評価される場合、解雇は有効となります。
上記のように職務能力の不足による解雇をするためには、相当な期間と労力を要することになりますが、これを怠った解雇は、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合」に該当し、解雇無効となる可能性が高いと言えます。
解雇無効を主張されると、会社は裁判で解雇は有効である旨を主張、立証しなければならなくなりますが、仮に会社が敗訴した場合、実務的には、解雇日から裁判が確定した日までの賃金の請求を受けるため、会社はかなりの損害を被ります。
解雇が有効か無効かは、専門家の弁護士に相談することとお勧めします。
当弁護士事務所でも、解雇問題を扱っているため、お気軽にご相談下さい。
みずほ綜合法律事務所(札幌弁護士会所属)は、個人や会社に安心と信頼をお届けしてきました。
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