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中3男子ひき逃げ|最高裁逆転有罪

交通事故刑事事件

報道によると、加害者が長野県佐久市で2015年3月、乗用車を運転中に中学3年の男子(当時15歳)をはね、被害者を救護する前にコンビニに数分間立ち寄ったことにより道路交通法の「ひき逃げ」(救護義務違反)の罪に問われた事件がありました。

被告人(加害者)は、一審で有罪、二審では無罪となりましたが、最高裁は、懲役6か月の有罪判決を出しました。

同じ事実を前提としながら、一審、二審、最高裁で判断が異なったのは何故かを考えてみます。

救護義務違反との関係で問題となった事実は、「被告人がコンビニに立ち寄り、酒の匂いを消すため、口臭防止用品を購入して服用した点」です。

東京高裁は、被告人が50m先のコンビニに立ち寄ったとしてもその時間は1分程度であり、「救護義務を履行する意思は失われておらず、一貫してこれを保持し続けていた」、「全体的に考察すると、被害者に対して直ちに救護措置を講じなかったと評価することはできない」と全体的な観察を行い、救護義務が履行されていたと認定しました。

事件現場から距離として50m、1分程度、離れただけでは、救護義務を尽くさなかったとまで評価できないというもので、時間や場所を考慮要素とし、全体として救護義務は尽くされていると評価したもので、時間や距離などを重要な判断要素とし、全体的な評価を行っています。

これに対し、最高裁は、被害者を発見できず、重傷を負わせた可能性があるにも関わらず、発見や救護に向けた行動を被告人が行わず、無関係な買い物のためコンビニへ行き、必要な措置を「臨機に」講じなかったと指摘し、被告人に救護義務違反があったと認めました。

「臨機」とは、「その時その場で適切な行動をとること」を指す言葉であり、発見できなかった場合は懐中電灯を購入する、周囲の人に手伝いを求めるなどの行為をすべきで、本件でのコンビニへの口臭防止用品の購入行為は、これに該当しないと判断したものです。

確かに高裁の認定した時間的隔離、場所的隔離を含めて全体を考察した場合に、救護義務を履行したと評価することには、合理的な判断基準が成立しており、無罪という考え方も理解できます。

しかし、最高裁はそのような基準を用いた場合、救護義務違反が成立しないのは社会通念や社会正義に反する点を踏まえて、別の基準を示し、有罪判決を下したものと推測されます。

交通事故は身近に起こるもののため、事故の被害に遭った場合は弁護士に相談することをお勧めします。

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