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報道によると、出版会社とその子会社が、情報誌などの記事や写真について、委託する事業者に対し、原稿料や撮影代を2023年4月号の掲載分から引き下げるとの通告を一方的に行ったとされています。
引下率は数十%に達したケースもあり、公正取引委員会は下請法の買い叩きに該当するものとして、同社に対し再発防止の勧告を出しました。
なお、同社側は下請法違反を認め、差額報酬を全額支払う旨の回答を出しています。
今回のケースでは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)と「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)の二種類による規制が考えられます。
下請法の禁止事項は(1)受領拒否、(2)代金の支払遅延(3)代金の減額、(4)返品、(5)買いたたき、(6)購入・利用強制(7)報復措置(8)有償支給原材料等の対価の早期決済(9)割引困難な手形の交付、(10)不当な経済上の利益の提供要請、(11)不当な給付内容の変更やり直しがあります。
フリーランス新法では、長期間にわたる業務委託がなされる場合、委託事業者側にいくつかの遵守事項が規定されています。具体的には(1)受託側に帰責性がない受領拒否(2)減額(3)返品(4)通常相場に比べ著しく低い報酬額を不当に定めること(5)正当な理由なく購入・役務の利用強制をすること(6)金銭・役務その他の経済上の利益提供要請(7)一方的な給付内容の変更ややり直し要請などが禁止されています。
双方の禁止事項を比較すると分かるとおり、下請法とフリーランス新法とでは、内容が非常に類似しています。
フリーランス新法が策定された経緯の一つとしては、下請法の適用には発注先と取引先の資本金額に相当程度の開きがあること(資本金額)が適用条件となっており、資本金要件に該当しない場合、下請法が適用できないという点にあります。
フリーランス新法では、両社の従業員や役員の有無といった人的組織規模が基準とされています。
KADOKAWAのケースでは、当時、フリーランス新法が施行されていなかったため、下請法に基づく勧告となりましたが、フリーランス新法が施行されていた場合は、同法に基づく勧告も想定されます。
今後は、買い叩きや代金減額、返品など不当な行為に対しては、下請法とフリーランス新法の両観点から、違反の有無が検討されることになります。
多くの中小企業でこのような買い叩きが行われている事例は枚挙にいとまがありません。
そのような場合には、当弁護士事務所へお気軽にご相談下さい。
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