最近、セクハラ、パワハラなどの他に、カスハラ（カスタマーハラスメント）の言葉が浸透してきました。

各企業は、カスタマーハラスメント対策を講じていますが、実際にカスタマーハラスメントの被害を受けた場合は、労災認定は受けられるのでしょうか。

回答としては、「受けられる。」で、深刻な内容としては、自殺まで含まれます。

住宅メーカー勤務の男性社員が自殺したのは、客から著しい迷惑行為（カスタマーハラスメント「カスハラ）｝）などで精神疾患にり患したことが原因であることして労災認定がされました。

男性は２０２０年２月に、住宅を新築中の男性顧客に追加費用が必要になったと説明したことをきっかけに、この顧客から叱責（しっせき）を受け続けるようになりました。他に業者が汚した隣地の外壁を清掃させられたり、休日に電話に出なかったことに怒りをぶつけられるなどのハラスメントを受けましたが、このようなハラスメント状態を上司は把握していませんでした。

男性の携帯電話には「そんなんじゃ銭なんか払えねえぞ」「すいませんで済むか、おめえ」などとまくし立てる音声が残されていました。

これらの事実認定を踏まえ、労働基準監督署は、精神障害の労災認定基準にある「顧客らから対応が困難な注文や要求を受けた」「顧客らから著しい迷惑行為を受けた」にあたると指摘し、、強い心理的負荷がかかり、精神疾患を発症したと判断した。

なお、「著しい迷惑行為」については、厚生労働省が令和５年９月に、カスハラの類型に位置付け、労災の新たな認定基準に加えています。

お客様は神様ですの時代は当の昔に消えた時代であり、カスハラが問題化する中で、企業はカスハラの実態把握に努め、社員個人にどのようにカスハラに対応するか、カスハラ対応をしても社員に責任が及ばないなどの対応マニュアルを作成し、会社として実践して欲しいものです。

カスタマーハラスメント（カスハラ）でお悩みの企業や個人の方がおられましたら、当法律事務所へお気軽にご相談下さい。