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労働問題(雇止めの有効性)

労働問題解雇

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【労働講座】です。

「有期雇用の従業員について雇止めをしても大丈夫なのか。」というご相談、反対に「会社から今期をもって有期雇用契約を終了とする、と一方的に通知されたが会社を辞めなければいけないのか。」というご労働問題の相談は往々にしてあります。

これらはいわゆる「雇止め」の労働問題ですが、この問題は有期雇用契約の従業員が増加してきたことに伴い問題となるケースも増えて来ているというのが実感です。

今回はこの雇止めの有効性についてお話したいと思います。

雇止めとは、有期雇用契約の従業員に対し、期間満了による更新を拒絶し、雇用契約を終了させることをいいます。

このような雇止めについて、有期での雇用契約であるから、企業側が期間満了に伴い契約を終了させるのは自由に行えるようにも思います。

しかしながら、有期雇用契約といっても実際は無期雇用契約の正社員と何ら変わらない状況があるのにもかかわらず、有期雇用契約だという理由だけで期間の満了で企業が自由に雇止めを行っても良いのか、という問題が起こり、現在では、法律上一定の条件を満たさない雇止めは許されないと定められています(労働契約法19条)。

例を挙げると、

①特定プロジェクトに従事する予定で合意の上で雇われた従業員が、当該特定プロジェクト終了まで数回の契約更新をし、プロジェクト終了後、更新期間満了により契約が終了する場合には、雇止めは有効となることがほとんどかと思います。

②一方、上記①の場合で、もともと契約していた期間が1年で更新を8回までと契約していたと仮定すると、プロジェクト終了前の4年目の更新をもって、会社側の人員削減を理由として、一方的に雇止めを通達された場合は、その他の事情もあると思いますが、上記労働契約法19条により、雇い止めが許されないと判断される可能性が充分にあるでしょう。

③では、上記②の場合で、プロジェクト半ばの4年目の更新時に、会社から「本年をもって本契約を終了とし、再度の契約更新はしない」との条件を契約更新書面の中に明記した上で示されて、従業員が契約はプロジェクト終了までの8年間であるはずだと主張したが、会社からは人員削減に迫られていることなどの理由から応じてもらえず、今契約を切られるよりは良いと考えてやむを得ず更新契約をした、という場合はどうでしょうか。

従業員が上記の再度の更新はしないという条件(これを「不更新条項」などといいます。)に応じて署名押印をしたから、この更新契約は有効だとも考えられるかもしれません。しかしながら、企業側が上記不更新条項を一方的に説明しただけでは、従業員の雇用継続の期待を一方的に裏切ったものとして、この更新契約にかかわらず雇止めが無効と判断される可能性があります。

企業側としては、この場合、上記不更新条項に関する十分な説明・情報提供を従業員に行った上で、従業員が真に自らの意思に基づき更新契約書面に署名押印をするようにしなければなりません。

以上のとおり、雇止めの問題は簡単なものではなく、その事案ごとの様々な事情によりその有効性が判断される問題です。

仮に雇止めが有効ではないと判断されてしまった場合には、雇止め後も従業員の給与等が発生しており、企業がこれを支払う必要が出てくるなどの問題が出てきます。

したがって、雇止めを行う際には、その有効性について少なくとも一度弁護士にご相談されることをおすすめ致します。

当事務所では、このような会社や個人の方からの雇止めに関するトラブルのご相談も受け付けております。

その他の労働問題に関しては、当事務所の労働問題のHPもご覧ください。

 

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