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離婚する際の財産分与で不動産を対象とする場合の注意点②

離婚

札幌の弁護士【みずほ綜合法律事務所】の【離婚講座】です。

以前こちらの記事で、離婚する際の財産分与について、マンションなどの不動産を分与する場合に、不動産の登記移転に関して登録免許税がかかってくる点に注意が必要だとお話致しました。

この記事でも少し触れたのですが、今回は同じく離婚に伴って不動産を財産分与する場合に注意すべき所得税についてお話致します。

今回も前回の記事と同様に、もともと名義上は夫の名義として購入した自宅マンションについて、離婚に伴う財産分与として、妻がこの自宅マンションの所有権を得ることになった場合を考えてみます。

自宅マンションの名義が財産分与をきっかけに夫から妻の名義へと変更される場合、離婚に伴う財産分与では、原則として贈与税や不動産取得税は発生しません(例外はあります)が、不動産を妻に移動するという点について「譲渡所得」として、夫側に所得税が発生する可能性があります。
この点は、十分にお気を付けいただきたいと思います。

「譲渡所得」とは、一般的に土地、建物、株式等、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得のことを言います。
一言でいえば、資産を売却してプラスになった(購入した時の金額よりも売却した時の金額が上回った)場合に、譲渡所得が発生し課税されます。
具体的にマンションの売却を例に取ってごく簡単にいうと、購入時2000万円だったマンションが売却時点で3000万円で売れた場合、差額の1000万円が所得になり、その1000万円に対して所定の課税がなされる、というイメージです(実際は、譲渡費用や減価償却等を考慮するので譲渡所得の計算はもう少し複雑になります)。

この譲渡所得は、上のようなマンションを売却する際だけでなく、上の例のように自宅マンションを夫から妻へ財産分与として渡す場合にも、発生する可能性があります。

通常の売買のように買主から売主に対して売買代金を支払うということが財産分与の際には無いケースも多いのですが、この場合一見すると、上のマンション売却の例とは違い、購入時2000万円、売却時は「ゼロ」円(財産分与で対価無しの場合)であり、プラス(利益)が発生しないので、譲渡所得については課税されないのではないかと疑問に思います。
しかし、実際には、売却時の金額は、財産分与時のマンションの「時価」を客観的に認定され、その金額が「売却額」とみなされます。

したがって、財産分与で一方的に夫から妻へマンションを譲渡し、夫が対価を受け取らない場合でも、その時のマンションの時価が3000万円であれば、3000万円とマンション購入時の2000万円との差額の1000万円が譲渡所得となり、課税がなされるということになります(上記同様減価償却等を考慮しない場合)。

上に述べたように譲渡所得に関する所得税は土地建物などを「譲渡した側」(上の財産分与の例でいうと夫)に課される税ですので、離婚の際に財産分与として土地や建物を譲渡する側は、十分に注意する必要があります。

実際に土地や建物を財産分与する際に譲渡所得が発生するか否かは、購入時の値段、財産分与時の時価、減価償却、購入時から財産分与時までの期間等を考慮した上で決定されますので、ご自身で判断するのではなく、必ず税理士などの専門家に相談することをお勧め致します。

以上、今回は前回の記事に引き続き、離婚の財産分与と税金についてお話致しました。

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