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5人殺傷事件|神戸地裁無罪判決【心神喪失の疑い】

刑事事件

11月4日、神戸地裁で、2017年に神戸市で祖父母ら男女5人を殺傷したとして殺人や殺人未遂などの罪に問われた被告に対し、裁判員裁判の判決公判があり、裁判長は「統合失調症の影響で心神喪失状態だったとの合理的な疑いが残る」ことを理由に無罪判決が言い渡されました

刑法第39条は「心身喪失者を刑法で罰しない。」という規定で、刑事裁判ではよく弁護人側から主張される方法ですが、実際に認められることは少なく、また、複数の人が殺された案件で、刑法第39条の心身喪失が認められるのは最近ではかなり珍しいものです。

本件では、検察官と弁護人の両方から、精神鑑定が出されました。

検察官側の精神鑑定結果は、被告人は善悪の判断や行動を制御する能力は残る「心神耗弱状態」だったとして、検察官は被告に無期懲役を求刑しました。

弁護人側の精神鑑定結果は、被告人は当時心身喪失で、人をゾンビとして認識しており、「心身喪失状態」だったとして、弁護人側は無罪を主張しました。

検察側の精神鑑定は、1回の被告人と医師との面談が5分程度であることなどを理由に信用性が低いこと、逆に弁護人側の精神鑑定結果の方が信用性が高いことを理由に、弁護人側の精神鑑定の方が重視されました。

今回の刑事事件は、検察官側からも心神耗弱は認めていたため、犯行当時、被告人の精神状態は極めて異常な状態にあったことは事実ではないかと思われます。

刑法第39条の心身喪失の規定は、法律関係以外の方にはなかなか納得がしづらい規定で、特に遺族の被害者感情に沿わない点もありますが、司法もこの判断の当否には相当の検討を加え、悩みながら判断をしています。

司法が刑法第39条を適用する際は、被害者感情を当然に知りながら、判断の適否を検討するため、司法もこの判断には非常に悩むものです。

とは言え、今後も刑法第39条の心身喪失を巡っての議論は後を絶たなないかと思います。

被害者やその遺族に、刑法やその他の規定で、心身や経済の被害回復のための新たな立法措置なども検討されるのが望ましいと考えます。

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